社員から残業代請求をされた場合は会社はどうしたらよいか

突然社員から残業代請求を受けた場合,会社側としてはどのような対応を行えばよいでしょうか。

昨今,会社側が社員から残業代請求をされることが珍しくなく,弊所でも経営者様から多くいただくご相談の一つが残業代請求の対応になっております。

社員が行う残業代の請求自体は,法律上社員側に認められた権利になります。そのため,それが法律に基づく正しい計算方法であるのならば,会社側としてもこれを支払わなければなりません。

他方で,社員から残業代請求を受けたが,その残業代請求が過剰な請求であることもあります。

したがって,社員から残業代請求を受けた場合は,社員が請求する残業代が適切なものであるのか,また,金額は妥当であるかを把握する必要があります。

中野区所在の吉口総合法律事務所作成の本コラムでは,残業代請求がなされた場合に,会社側がどのような点を確認し,どのような反論をする必要があるかについて弁護士が解説をしたいと思います。

第1 時効にかかっている部分についても残業代請求がされていないかを確認する

残業代請求には2年の消滅時効が存在し,2年の消滅時効を超えている場合は,超えている部分について残業代請求ができなくなります。

したがって,残業代請求がなされた場合には,消滅時効にかかっていないかを確認する必要があります。

仮に,2年を超えた残業代の請求がなされている場合,会社側は社員に対し,消滅時効が成立している旨反論することを検討しましょう。

なお,残業代請求が2年で消滅時効が成立するとしても,消滅時効の期間が満了することによって自然に時効となるわけではありません。

会社側は時効が成立している旨の意思表示をして初めて時効が成立するため,この点に注意が必要です。

そして,社員に対して消滅時効の主張をするときは,記録に残るように,書面等で消滅時効の意思表示を行うのが良いでしょう。

また,消滅時効が完成したとしても,時効の意思表示をする前に消滅時効にかかっている部分の支払義務を認めてしまうと,時効の主張が認められなくなってしまいます。したがって,この点についても注意が必要です。

第2 社員側が主張する労働時間の計算が正しいかを確認する

社員から残業代請求がなされた場合は,社員側が主張する労働時間が正しいものであるかを把握する必要があります。

例えば,社員側から始業・終業時刻が具体的に示され,それを基に残業代の請求がなされているとします。しかし,会社は残業を行うことを禁止しており,当該社員が残業禁止の指示に反してされていたというような場合,残業時間が労働時間に含まれるかということが問題になります。

会社から残業が禁止されていたという事情のみでは,当然に残業代が発生しないものではないですが,社員側の労務内容等から,労働時間には該当しないと判断される可能性もあります。

したがって,個別具体的な事情にもよりますが,残業が禁止されている状態で労働をしていた場合は,その労働時間は労働時間に該当しない旨反論することが考えられます。

第3 固定残業代として支払済みでないか,適用除外に該当しないかを確認する

社員から残業代請求がされた場合,社員に対して,既に固定残業代手当を支払っていないか確認しましょう。

社員に給与を支給するにあたって定額の時間外手当を支給している場合があります。このような場合において,一定の要件を充たす場合は,請求をされている残業代額から控除することができます。

ただ,定額の時間外手当が支払われているからといって当然に請求されている残業代から当該手当を控除できるわけではありません。この点については,要件がありますので,弁護士に相談をされることをお勧めします。

また,当該社員が,管理監督者,または,労基法上の適用除外に該当する宿直勤務を行っていないかを確認しましょう。

当該社員が労基法上の管理監督者に当たる場合や労基法上の要件を充たす宿直勤務を行っている場合は,残業代が発生しないことになります。

したがって,この点について確認することも必要です。

ただ,管理監督者の主張は簡単には認められるものではないため,労働時間や賃金額等を把握したうえで,こちらについても弁護士に相談されることをお勧めいたします。

第4 終わりに

以上,社員から残業代請求をされた場合に,会社側としてはどのような対応を行えばよいかについて解説を行いました。

対応方法の具体例は上記の通りですが,上記反論が法律上有効適切かは個別具体的な事案によって異なるため,どのような反論が有効であるかの判断は容易ではありません。

弁護士にご相談・ご依頼をいただけた場合,上記点を踏まえて会社側の代理人として社員と交渉することが可能です。それによって,会社側は本来の業務に集中ができるとともに,請求額の減額の交渉をすることもできます。

社員から残業代請求をされた場合は,早期に対応をすることが会社側としても得策です。したがって,社員から残業代請求をされた場合は,お気軽に中野区で無料法律相談対応の吉口総合法律事務所までお問い合わせください。

 

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