遺産分割協議について

弊所では、遺産分割業務を重点分野として取り扱っております。

相続が発生した場合は、遺産分割を行い、遺産分割協議書を作成しなければいけないということはよく聞きますが、遺産分割を行い遺産分割協議書を作成しなければならない理由はどのようなものなのでしょうか。

本ページでは、遺産分割手続について解説を行っていきます。

 

【遺産分割の期限及び遺産分割を行わなければならない理由】

ご相談者様から、「遺産分割はいつまでにしなければいけないのか」というご質問をよくいただきます。この問いに対する回答は、「法律上遺産分割の期限は決まっていない」というものになります。

それでは、遺産分割に期限はないため、遺産分割をしなくても問題はないのでしょうか。

以下述べる通り、遺産分割をしないとデメリットがあるため、遺産分割に期限が無いとしても可能な限り早期に遺産分割をした方が良いといえます。

 

『遺産分割をしないと、遺産を有効活用ができなくなるというデメリットがある』

例えば、遺産の中に不動産がある場合において、遺産分割をしないと土地を高値で売ることができなくなります。不動産の持分のみの買取を扱う不動産業者もいますので、相続持分を売ることができなくもないですが、持分のみでは土地を単独で処分できず使用も制限される以上、買いたたかれてしまいます。

また、預貯金についても、以前は銀行に対して持分相当額の範囲で相続人が単独で払戻請求ができましたが、近年判例変更があった影響で、判例変更後は原則としてこれができなくなり、凍結されたままになってしまいます。

このように、遺産分割をしないと財産の処分が困難になり、凍結状態が続いてしまい、遺産を有効活用できなくなってしまうというデメリットがあるため、出来る限り早期に遺産分割を行う必要があります。

 

『遺産分割をしないと相続人の数が増え持分が細分化され続けるというデメリットがある』

遺産分割をしないまま相続人が死亡すると、相続人の相続人が相続持分を相続することになるため、相続人の数がネズミ算式に増えていきます。

遺産分割は相続人全員と行わないといけないため、こうなってしまうとまず相続人が誰であるかを把握することすら困難になってしまいます。

以前、弁護士が担当した案件ではご相談者の曽祖父の時代から遺産分割を行っていなかったため、相続人の数が20人以上になってしまい、相続人の把握及び調整にも時間を要したことがあります。

このように、遺産分割を行わないと相続人の数が増え、その結果遺産分割の成立が困難になり、結局のところ、後の世代に遺産分割の負担を負わせることになってしまいます。

 

『遺産分割をしないと税法上の特例が使えなくなってしまうというデメリットがあります』

相続が発生した場合、金額によっては相続税の申告も必要になります。

相続税の申告にあたっては、相続税額の支払を減らすために、様々な特例が用意されていますが、遺産分割を行わないと、この特例が使えないということが多くあります。

したがって、このような事態を防ぎ、税法上の特例措置により納税額を安くするためにも遺産分割を行う必要があります。

 

【なぜ遺産分割協議書を作成しないといけないか。】

上記の通り、遺産分割を行う必要性があることがわかりましたが、それではなぜ遺産分割協議書を作成するのでしょうか。

遺産分割協議書を作成する理由は、当事者以外に遺産分割の内容を証明するためです。

例えば、不動産の場合、遺産分割を行った後に登記を行わないといけませんが、登記を行う登記官は、相続人間でどのような遺産分割協議がなされたかはわからないため、遺産分割協議書が必要になります。また、銀行で預金の払戻をする場合も、銀行側が遺産分割の事情が分からないため、銀行側に遺産分割の内容を証明するために、遺産分割協議書が必要になります。

 

【遺産分割協議書作成までの流れ】

『相続人の確定』

遺産分割協議は相続人全員とこれを行わなければいけません。

したがって、まずは、相続人が誰であるかを確定します。通常は、被相続人の出生から死亡までの全ての戸籍を取得します。

『遺産の範囲の確定』

被相続人がどのような遺産を有しているかを確定します。遺産が何であるかわからない場合であっても、ある程度の遺産は調査が可能です。
なお、この段階において、いわゆる名義預金・借名預金等、預金が被相続人の遺産であるか否かが争われることもあります。

『遺産の評価額の確定』

現金や上場株式の場合は、評価額が争点になることはあまりありませんが、不動産や非上場株式が遺産の中に含まれる場合、その評価額が問題になります。

この段階では、遺産をどのような額で評価するかが争われることもあります。

『特別受益や寄与分の考慮』

 生前贈与を受けている場合や、生前に被相続人の介護をしていた、被相続人に金銭の援助をしていた等の事情がある場合は、遺産分割で取得できる金額が変わります。

したがって、特別受益や寄与分に該当するかを確認する必要があります。

『遺産分割協議書の作成』

上記順序で話がまとまった場合は、遺産分割協議書を作成いたします。

通常遺産分割協議書には、署名及び実印を押捺し、印鑑証明書を添付することが多いです。

なお、遺産分割協議書には不動産屋預貯金等遺産をしっかりと特定することが必要ですので注意しましょう。

 

【遺産分割がまとまらないケース】

以上、遺産分割を行う理由及び遺産分割協議書作成の流れを説明しましたが、遺産分割がまとまらないのはどのようなケースでしょうか。
以下では、遺産分割がまとまらないケースを列挙致します。

  • 相続人の一人が遺産分割協議に全く応じないケース
  • 相続人の一人が自分のみが遺産を取得すべきと主張するケース
  • 遺産分割の対象である遺産が、不動産や非上場株式等の流動性が低い資産のみであり、金銭による調整が難しいケース。
  • 相続人の中に未成年者がおり、誰を当事者として遺産分割をすればよいかわからないケース
  • 相続人の中に認知症の方や行方が分からない方がいるケース
  • 相続人の数が膨大であり、誰と遺産分割をすればよいかわからないケース

 

【遺産分割がまとまらない場合の弁護士が介入するメリット】

遺産分割がまとまらない場合において弁護士に依頼をするとどのようなメリットがあるのでしょうか。

 

『次に何をしたらよいのかがわからず遺産分割が停滞するという事態を防げる。』

前述の通り遺産分割がまとまらないケースをご紹介しましたが、上記すべてのケースにおいてどのような手段をとれば問題を解消できるかお分かりの方は多くは無いと思います。
遺産分割に詳しい弁護士であれば、上記事例においてどのような手段を取ればよいかということを熟知しております。

したがって、弁護士に依頼することによって、問題解消のための手続を進めることができ、遺産分割が停滞するという事態を防ぐことができます。

 

『代理人として他の相続人と交渉することができるため負担が軽減される』

ご相談者様の中には、行政書士や司法書士の先生に依頼をしたものの、相続人の一人が遺産分割に応じてくれないため結局遺産分割が成立しなかったとご相談される方がいらっしゃいます。

弁護士以外は、代理人になることはできないため、相続人の一人が話に応じなければ結局のところ相続人ご本人で何とかするしかありません。
また、遺産分割調停等についても弁護士以外が代理人として代わりに出席することもできません。

しかし、弁護士に依頼することによって、弁護士がご相談者の代わりに他の相続人と遺産分割協議を行い、ご本人の負担を軽くすることができます。

 

『紛争の予防を踏まえた遺産分割協議書を作成することができる』

弁護士は紛争解決のプロであり、紛争案件を多く取り扱っています。遺産分割の効力を争った経験や、共有分割にしてしまったことによって後に共有物分割請求を行われた等の紛争処理経験があるからこそ、どのようにすれば紛争が生じないかということを理解しているといえます。

したがって、弁護士に依頼することによって紛争の予防のための遺産分割協議書を作成することができます。

 

無料相談ご予約・お問い合わせ

 

ページの上部へ戻る

トップへ戻る

電話番号リンク 問い合わせバナー