【不動産コラム】借地権付建物を売却するためにはどのようなことを注意すべきか

 「借地権付建物を相続したが地代が発生するため売却をしたい」,「現在借地を有しているが子供に贈与したい」,借地権付建物の所有者がこのように考えた場合,借地権付建物の売却を行うにあたってどのような点に気を付けなければならないでしょうか。

 本ページでは,借地権付建物を売却するためにはどのような手続が必要か,そして,借地権付建物を売却するためにはどのような点に気を付けなければならないかについて解説を行います。

借地権付建物の売買方法の種類と注意点

 借地権付建物を売却するにあたっては,

①借地権付建物を第三者に売却する方法

②地主と協力して土地及び建物を第三者に売却する方法

③地主に借地権付建物を買い取ってもらう方法

 があります。

借地権付建物を第三者に売却する方法

 借地権付建物を第三者に売却するにあたっては地主の承諾が必要になります。

 仮に地主から承諾を得ずに売却をしてしまうと,建物に従って借地権も売却されたことになり,借地権の無断譲渡として地主から借地契約を解除されてしまいます。

 借地権付建物の売却にあたってはこの点について必ず注意しなければなりません。

 地主との交渉の結果,借地権付建物の売却の承諾を得られた場合は地主に対して譲渡承諾料を支払うことが一般的です。

 この譲渡承諾料については目安としては借地権価格の1割とされていますが,地主からは,相場よりも高い金額を支払わなければ借地権譲渡に承諾しない旨伝えられることもあります。

 その場合は地主との交渉が必要になってきます。

地主と協力して土地及び建物を第三者に売却する方法

 地主の承諾のもと借地権付建物を第三者に売却する方法とは別の方法として,地主と協力して不動産を売却する方法があります。

 この方法をとることができれば,買主は,購入後,借地権の負担のない土地(更地)として利用することができるため,不動産を高く売れる可能性があります。

 もっとも,この方法をとるためには地主との協力が必要になりますので,やはり地主が共同して不動産を売却することに承諾しなければこの方法をとることはできません。

 また,仮に地主に不動産を売却する意向があったとしても,売却価額の配分について地主側から承諾を得る必要があることについても注意が必要です。

地主に借地権付建物を買い取ってもらう方法

 借地権付建物を売却する方法の一つには,地主側に借地権付建物を買い取ってもらうという方法もあります。

 もっとも,借地権付建物の共同売買の方法と同じく,地主側に借地権購入の意図が無い場合は強制的に買い取ってもらうことはできません。

 したがって,地主が借地権の買取に承諾しない場合はこの方法をとることはできません。

地主が借地権付譲渡に承諾しない場合は借地非訟手続(土地賃借権譲渡許可申立)を利用する

 借地権付建物の売却について地主が承諾しないことはよくありますが,このような場合は借地非訟手続(土地賃借権譲渡許可申立)を利用することによって問題が解決することもあります。

 この借地非訟手続(土地賃借権譲渡許可申立)とは,裁判所が地主に代わり借地権譲渡承諾の許可を出してくれる手続です。

借地非訟手続(土地賃借権譲渡許可申立)の流れ

 この借地非訟手続(土地賃借権譲渡許可申立)は,借地権付建物が存在する場所を管轄する裁判所に対し申立てを行います。

 申立後,裁判所は,借地権が存在することを前提に,借地権の譲渡が地主にとって不利でないこと等を審理することになります。

 審理の結果,借地権の譲渡が地主にとって不利になる等の事情がある場合は請求棄却,そうではない場合は譲渡許可決定がなされることになります。

 もっとも,借地権譲渡許可の決定がなされる場合であっても,譲渡承諾料として借地権価格の1割程度の反対給付が命じられることもよくあります。

 また,裁判所による許可決定ではなく和解で終了することもあり,この場合は早期に紛争が解決することもあります。

借地非訟(土地賃借権譲渡許可申立)の利用の注意点

 ここまで説明したところによれば,借地非訟手続を利用した上で借地権譲渡が地主に不利になる事情等がなければ,地主の承諾がなくとも借地権付建物の売却は容易のようにも思われます。

 もっとも,借地非訟手続を利用するにあたっては以下の点に注意が必要です。

 借地権の残存期間が必要

 まず,土地賃借権譲渡許可決定がなされるためには,借地権の残存期間がある程度(目安としては2,3年程度)残っている必要があります。

 これは地主側の期間満了による契約終了に基づく明渡しを求める機会を保障するためです。

 このような制限があるため,借地非訟申立てをする場合は,法定更新後等に申立てを行う等,申立ての時期を事前に検討する必要があります。

 地主が借地権を買い戻す可能性がある

 次に,借地非訟手続においては,地主に介入権という権利が認められています。

 この介入権とは,地主側が借地権者から強制的に借地権を買い取るという制度です。

 地主によって買い取られる借地権の価格は時価になるため借地権者側としては不利にはならないことが多いです。

 もっとも,親族等特定の者への譲渡を希望していたにもかかわらず介入権行使によってこれができないという事もあり得るので,申立てにあたってはこの点にも注意が必要です。

 地主から抵当権設定の承諾書までは取得できない

 また,借地非訟手続では地主から抵当権設定の承諾書までは得られないことにも注意が必要です。

 借地権付建物を売却するにあたっては,買主は銀行から融資を受けることが通常ですが,融資を受けるにあたっては銀行から抵当権設定の承諾書を求められることがあります。

 この抵当権設定承諾書とは,地主が借地権に抵当権を設定することについて承諾をしたことを証する書面になります。

 本来であればこのような書類は法的にはあまり意味がないのですが,金融機関が要求する以上は無視をすることができません。

 しかしながら,裁判所による譲渡許可では地主に対してこのような書面を交付することまでは要求できませんので注意が必要です。

 借地非訟手続を利用するにあたっては利用前にこの点を踏まえて工夫をしておく必要があります。

終わりに

 以上,借地権付建物を売却するためにはどのようなことを注意すべきかについて解説を行いました。

 借地権付建物の売却を含めた不動産売買に関する紛争が生じた場合であっても弁護士等の専門家を介在させることによって問題が解決することがあります。

 東京都中野区所在の吉口総合法律事務所では,借地権付建物の不動産売買を含む不動産問題に関して重点的に取り扱いを行っております。

 借地権付建物の売却を含む不動産問題に関するご相談は東京都中野区所在の吉口総合法律事務所までご相談ください。

 

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