【相続コラム】存命中の親の預金が現在使い込まれているときの防ぎ方と解決方法

 弊所で相続のよくいただくご相談内容としては,相続預金の無断引き出し・使い込みのご相談です。

 これと似た類型のご相談としては,親族が生前・存命中における預貯金の無断引き出し・使い込みの問題があります。

 具体的には,「自分の息子に預貯金の管理を委ねたが,無断で引き出されているようなので預金の返還請求をしたい」,「自分の親が弟に預貯金の管理を依頼したようだが,親の知らない間に預貯金が引き出されているようであり,何とかしたい。」といったご相談になります。

 このように,親族の生前・存命中に預貯金が無断で引き出されて使い込まれていることが疑われる場合は,どのように対処すればよいでしょうか。

 本コラムでは,親族の生前・存命中に預貯金が無断で引き出されて使い込まれている場合の対処法について解説を行います。

▼相続が既に発生している場合における預金の使い込みに関してはこちらのページをご参照ください。

▼預金の使い込みの解決事例はこちらのページをご参照ください。

すぐにしなくてはならないことは,これ以上預金が引き出されることを防ぐこと

 親族の生前・存命中に預金が無断で引き出され使い込まれていることが判明した場合は,まずはこれ以上預金が引き出されることを防ぐ必要があります。

 具体的には,預金がこれ以上無断で引き出されないように,当該親族が銀行等の金融機関を訪問した上で届出を行います。

 親族の判断能力が保たれている場合は,金融機関に相談・届出をすれば,これ以上の引き出しができないよう対処ができます。

 他方で,仮に親族の判断能力に疑義が生じている状態であれば,当該親族に対する後見開始の申立てを行うことを検討します。

 このように,無断で引き出され使い込まれた預貯金の返還請求を行う前に,まずはこれ以上被害が広がることを防ぐことをしましょう。

引き出された預金額の確認を行う

 これ以上の預金の無断引き出し・使い込みが防ぐことができた後は,無断で引き出された預貯金額がいくらであるかを確認します。

 この確認は,親族が引き出された預金口座の通帳を保管していれば通帳を確認し,通帳の保管をしていない場合は金融機関を訪問して取引履歴を取得します。

 取引履歴等を確認し,身に覚えのない引出をピックアップすることによって,無断で引き出され使い込まれた可能性がある金額が徐々に明らかになります。

親の預金を引き出している者に対して引き出された預金の返還請求を行う

 預貯金が無断引き出された上で使い込みがされた場合は,引き出し・使い込みを行った者に対して返還請求をすることができます。

 この返還請求を行う法律上の根拠としては,不当利得返還請求,不法行為に基づく損害賠償請求,(財産管理の委託をしていた場合は)委任契約に基づく受取物返還請求等があげられます。

 これらの請求をするために,預金を無断で引き出した者を被告として,地方裁判所に対して民事訴訟を提起することになります。

 使い込まれた預金の返還請求を行うために,家庭裁判所の調停を利用することもありえますが,解決までのスピードや実効性を考えると,地方裁判所に対して提起した方がより効果的です。

 なお,解決までに要する時間ですが,預金を無断で引き出した者の反論の内容にもよりますが,概ね8カ月から12ヵ月程度が多いように思われます。

親族に認知症等の症状がなく意思疎通が可能な場合

 通常の相続における預金の使い込み案件の場合は相続人を原告として,預金を無断で引き出し使い込みを行った者に対して返還請求を行います。

 これに対し,存命中の親族の預貯金が無断で引き出され・使い込まれた場合は,使い込みがなされた親族が原告となって使い込みを行った者に対して返還請求を行うことになります。

親族に認知症等の症状がある場合

 親族が存命中ではあるものの認知症等の症状がある場合もあります。

 この場合,認知症と言っても症状の軽重がありますので,認知症の症状があるからといって直ちに訴訟提起ができないわけではありません。

 もっとも,認知症が重い場合は訴訟の遂行が難しくなるため,後見開始の申立てを行うことになります。

 そして,選任された後見人の判断で預貯金を無断で引き出した者に対する返還請求を行うか否かが決まることになります。

預金を無断で引き出したことが疑われる側からなされるよくある反論

 預貯金を無断で引出・使い込んだことを理由とする返還請求を行った場合であっても,これに対する反論がなされることがよくあります。

 具体的には,「預金はもらったものである」,「預かっているだけであるから返すつもりである」,「引出金は許可を得て借りたものである」等の反論がされることがあります。

 これらの反論がなされた場合は,それらの法律上の位置づけを理解した上で,再反論を行い返還請求を行うことになります。

終わりに

 以上,親族生前中・存命中に無断で預金が引き出され・使い込まれた場合における対処方法について解説を行いました。

 親族生前中・存命中に預貯金が無断で引き出され・使い込まれた場合における返還請求は,相続した預金が使い込まれた場合における返還請求と基本的には似た法律構成にはなります。

 東京都中野区所在の吉口総合法律事務所では,預金の使い込みを始めとする相続問題を多数扱っております。

 預金の使い込みを含む相続問題にお困りの方は,下記お問い合わせフォーム等から東京都中野区所在の吉口総合法律事務所までお問い合わせください。

 

無料相談ご予約・お問い合わせ

 

ページの上部へ戻る

トップへ戻る

電話番号リンク 問い合わせバナー