最近は“イクメン”という言葉も聞くようになり,父親が育児に参加をすることが当たり前になってきました。その結果かはわかりませんが,父親の子供に対する思いも強くなり,離婚の際に子供の親権や監護権について争われる事案も増えてきました。
本ページでは,離婚に際し決めなければならない親権や,子供との面会交流(面接交渉)について解説をしていきます。
【親権の決定方法(協議・調停)】
まず,親権が父親と母親のどちらに帰属するかというのはどのように決まるのでしょうか。
この点についてですが,まず父親と母親との話し合いで親権者が決まれば,親権者を決定する基準にかかわらず,父親と母親の話し合いで決まった親が子の親権者となります。
問題は,話し合いで決まらない場合です。
このような場合に,親権者がどのように決まるかというと,「子の福祉に適う親」が子の親権者になります。
そして,この「子の福祉に適う親」に該当するか否かは,様々な事情から個別・具体的に決まります。具体的には,親側の事情として,親の監護能力(年齢・性格・教養・健康状態)精神的・経済的家庭環境や従来の監護状況,親族の援助等が考慮され,子の側の事情として,子の年齢,性別,心身の発育状況,子の意思等が考慮された上で親権者が決まることになります。
【親権を取得するまでの流れ】
前述の通り,親権は,まずは離婚に際する父親と母親との話し合いによってどちらが取得するか決まることになります。
この話し合いで親権者が決まればよいですが,双方が譲り合わない場合は,離婚調停を申し立て,裁判所を介した話し合いをすることになります。そして,調停の場において親権者をどちらにするかを決めることになります。
それでも決まらない場合は,離婚裁判に進み,最終的には,裁判所が親権者を父親と母親のいずれにするかを決めることになります。
【父親は親権取得に不利な立場か】
親権に関しよくご質問を受ける例として,「父親は親権をとれないのではないか?」,「親権の取得については,女性側が有利なのではないか?」というものがあります。
これは,ある意味では正しいですが,ある意味で正しくないと言えます。
確かに,一般的に親権者が母親側になることが多いとは言えます。しかし,これはあくまで結果にすぎず,男性だからといって親権が取得できないわけではありません。
例えば,親権者決定の基準の中には母性優先の基準がありますが,これは女性であることを必ず求めているものではなく,男性側も母親的な働きをすればこの原則をみたします。
また,親権の決定要素の一つに継続性の基準というものがあり,要は,これは,現実に子を養護する者が優先されるという基準になりますが,こちらについても同じことが言えます。
もっとも,実際の働きは別として,現実問題として,一般的には,女性側がこのような働きをすることが多いため,結果として女性側が親権を有するに至っている面もあるとは思います。女性側の社会進出が増えたとしても,現実に子の監護をしているのは,母親であることが多いため,このようなことから,母親が親権を取得することが結果として多くなっていると言えるでしょう。
ただ,大事なことは,男親か女親かということではなく個別具体的に決まるということですので,ご相談をされることをお勧めいたします。
【面会交流で相手方が従わない場合】
一方の親が仮に親権を取得しなかった場合や,親権を取得できなかった場合は,子供と定期的に会うために,面会交流(面接交渉)を取り決める場合があります。
この面会交流(面接交渉)にあたっては,相手方親との間で,子供と月に何度会うのか,面会する時間はどれくらいか,面会する場所はどうするのか,宿泊するのか否か等を決めることになります。
しかし,この面会交流(面接交渉)において,面会時間や面会場所を決めたにもかかわらず,相手方が色々理由をつけて,結局子供に会えないということもあります。
このような場合は,状況によっては,面会交流(面接交渉)の調停を申立てた上で,強制執行を行うことによって問題が解決することもあります。
ただ,この強制執行は,無理やり子供と会わせるというものではなく,相手方が約束を守らない間は金銭を支払わせ間接的に面会を強制するというものであることに注意が必要です。また,強制執行をするためには,前提として合意内容を具体的に取り決める必要があります。
このようなことから,面会交流の方法等の合意が重要になりますので,面会交流の取り決めを行うにあたっては,後の手続を見据えたものにすることが大事になります。
弁護士へご相談をされた場合は,このような注意点を踏まえて面会交流を実現することが可能になりますので,面会交流で少しでもお悩みの方は弁護士までご相談ください。