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外国人労働者を雇い入れる方法と注意点
先日のコラムでは,入管法の改正により,新たな在留資格である「特定技能」が制定され,外国人労働者の人数が今後増えていくことが見込まれるのではないかということを解説しました。
それでは,「特定技能」の在留資格が制定されたことを前提として,企業が新たに外国人労働者を雇い入れるためにはどのような方法があるのでしょうか。
また,外国人労働者を雇い入れるにあたってはどのような点に注意をしなければならないのでしょうか。
本コラムでは,外国人労働者を新たに雇入れる方法と注意点について解説をしていきます。
外国人労働者を新たに雇入れる方法
外国人を新たに雇入れる方法としては,在留資格を有する日本在住の外国人を採用する方法と外国在住でこれから在留資格を取得する外国人を採用する方法があります。
国内にいる外国人労働者に募集をかけて雇い入れをする方法
日本国内にいる外国人労働者を雇い入れる場合は,日本人労働者と同様に外国人労働者と雇用契約を締結することになります。
もっとも,雇い入れるに当たっては,まずは当該外国人の在留資格の有無及び内容を確認する必要があります。
在留資格が無い,または,当該在留資格によって就労ができないにも拘わらず就労をさせた場合は,就労した外国人が不法就労(入管法73条,70条第1項第4号)となるのは当然として,不法就労をさせた企業についても,不法就労助長罪(入管法73条の2第1項)が成立することになります。
しかも,不法就労助長罪は,会社側が当該外国人の活動が資格外であることや資格外活動許可を得ていなかったことを知らなかった場合であっても処罰を免れることができません(同法73条の2第2項)。
会社側が外国人を働かせてしまったことについて無過失であった場合は,処罰を免れることができますが,その範囲はかなり狭いといえます。
したがって,外国人の在留資格では労働できない場合は雇い入れをすることはできませんので,少なくとも在留カードやパスポートまたは資格外活動許可書の確認が必要になってきます。
応募した外国人労働者が良い人材であるにもかかわらず,募集した職種では働けない場合は,場合によっては,在留資格の変更を行うことも検討することになります。
国外にいる外国人労働者に募集をかけて雇い入れをする方法
知人に外国人がいる場合や特定の資格や技術を持った外国人労働者を外国から招聘をしたい場合,在留資格を取得した上で雇用契約の締結を行います。
このように国外にいる外国人労働者を募集する場合は,受け入れ先等の企業や弁護士が在留資格認定証明書を事前に取得した上で,同証明書を当該外国人の送付し,外国の日本大使館で査証を取得してもらうことになります。
査証を取得した場合は,当該外国人が査証添付のパスポートを所持した上で上陸許可を受けた上で日本に入国することになります。
入国後は,当該外国人との間の雇用契約に基づき労働を開始することになります。
外国人労働者を新たに雇い入れるに当たっての注意点
外国人労働者を新たに雇い入れるに当たっての注意点は以下の通りです。
外国人労働者を雇い入れる前に在留資格を確認する。
前述の通り,外国人労働者を新たに雇い入れるにあたっては,必ず在留資格を確認しましょう。
在留資格によって許されていない活動をさせた場合,不法就労助長罪(入管法73条の2第1項1号)に該当し刑事罰が課せられることになります。
海外から外国人を招聘する場合は,あらかじめ在留資格を取得してから入国しますので問題になりませんが,国内の外国人を雇い入れるに当たっては,在留資格の確認は必須です。
外国人に対し当該在留資格で許されていない労働をさせないように気を付けることもそうですが,例えば,「留学」の在留資格において,資格外活動許可の範囲を超える週28時間以上のアルバイトをさせないこと等も気を付けないといけません。
外国人労働者を雇い入れるにあたっては労働法規を遵守することを忘れない
外国人労働者の受け入れが以前よりも容易になるとはいえそれは安く雇えるということではありません。
外国人であっても,日本の労働基準法等の適用があるため,その点に注意が必要になります。
日本の労働法規が適用されるため,外国人に残業を行わせた場合は残業手当を支払わなければいけませんし,労働時間の制限も受けることになります。
また,雇用保険の適用もあるため,日本人と同様に雇用保険に加入することを忘れないようにしましょう。
日本人では人が集まらない職場について外国人が就労をするという可能性はあるかもしれませんが,あくまで労働法規を遵守しなければならないことは忘れてはいけません。
雇い入れ企業はハローワークに対して届出を行う必要がある
労働施策総合推進法28条に基づき,外国人労働者を採用した場合は,企業側は外国人労働者の氏名や在留資格等について届出を行う必要があります。
外国人労働者を採用した場合はこの点も忘れないようにしましょう。
終わりに
以上外国人労働者を新たに雇い入れる方法と注意点について解説を行いました。
日本の人口が減少し,労働力の需要が増していく中で新たに外国人労働者を採用する必要性というのは今後ますます増えていくと思われます。
東京都中野区所在の吉口総合法律事務所では,特定技能や外国人労働者の採用に関するご相談を受け付けております。
特定技能や外国人労働者の採用に関してご質問がある方は,お電話またはお問い合わせフォーㇺでお気軽にお問い会併せください。
『建設会社向け』注文者・発注者(注文・発注・元請会社)の建設工事代金未払・破産の場合に,建設工事代金を回収するためにはどうしたらよいか
中野区で無料相談対応の吉口総合法律事務所では,建設会社の方から,
「工事の発注を受けたので工事を完了したが,建設工事代金の支払いがなされない。」
「元請会社から建物の建築を依頼されたため下請会社として工事を行ったところ,元請会社が破産をしてしまったがどうしたらよいか。」
「注文会社から内装工事を依頼され工事を進めたが,注文会社が倒産をしてしまったが建設工事代金を回収できるか。」
このようなご相談をいただくことがございます。
本ページでは,工事の注文を行った側を注文会社,建設会社側を請負人として,工事の注文会社から建設工事代金の未払がある場合や注文会社が破産をした場合にどのように債権回収を行えばよいかについて弁護士が解説を行います。
★ なお,債権回収に関連する情報は,下記ページもご参照ください。
注文会社(元請会社)から依頼された工事が完了したが建設工事代金の支払がなされない場合
建設工事が完了したにもかかわらず注文会社から建設工事代金が支払わないことがありますが,注文会社(元請会社)から建設工事代金が支払われない理由は様々です。
例えば,注文会社(元請会社)から建設工事代金が支払われない理由としては以下のものがあげられます。
①注文会社に支払原資がない・資金繰りが苦しいので支払うことができない。
②仕事を完成させたが瑕疵(ダメ工事)がある。
③注文に応じて追加変更工事を行ったが,注文会社が理由をつけて建設工事代金を支払わない。
このような場合,上記注文会社の反論に応じてどのように建設工事代金を回収するかを決める必要があります。
注文会社に支払原資がない,注文会社の資金繰りが苦しい場合
注文会社に単に支払原資がない場合,基本的には,注文会社が建設工事代金の支払を拒める法律上の理由はないと言えるでしょう。
したがって,注文会社が建設工事代金の支払を拒絶した場合,内容証明郵便を発送して建設工事代金の支払を求めた上で,裁判手続を行うことも検討したほうが良いです。
【内容証明郵便発送による建設工事代金の請求】
内容証明郵便を送る場合,建設工事の内容,建設工事の支払金額や支払先の口座,及び,支払がなされない場合は法的措置をとること等を明記することを忘れないようにしましょう。
なお,内容証明郵便を送るにあたっては,会社名義で送る場合と弁護士名義で送る場合がありますが,弁護士名義で送ることにより,注文会社に対して本気度を伝えることができます。
【裁判手続による建設工事代金の請求】
仮に,内容証明郵便を発送してもなお建設工事代金の支払を拒絶する場合は裁判手続に進むことになります。
裁判手続を行うにあたっては,訴訟前に注文会社の財産処分を制限する仮差押という手続があります。
例えば,注文会社の預金や不動産の仮差押を行うことによって,裁判が行われている最中に注文会社が財産を処分し,隠してしまうという事態を防ぐことができます。
債権回収に当たっては,財産確保が重要ですので,可能であればこの仮差押を行った方が良いと思います。
なお,別のメリットとしては,仮差押をすることによって,相手方が任意の支払に応じることもあるという点があげられます。
そして,注文会社に対する内容証明郵便の発送や仮差押を行ったにもかかわらず,建設工事代金の支払を行わない場合は,訴訟提起を行うことになります。
訴訟提起後,判決が出てもなお相手方が建設工事代金の支払に応じない場合は,強制執行を行い建設工事代金の回収を行うことになります。
仕事に瑕疵(ダメ工事)がある,追加変更工事の報酬について争いがある場合
これらの場合は,注文会社の建設工事の瑕疵(ダメ工事)の主張や追加変更工事における報酬の合意に関する主張が法律上正当であるかを確認する必要があります。
仕事に瑕疵(ダメ工事)がある場合や,追加変更工事がなされた場合における報酬額については,法律上様々な論点がありますので,この場合における対応策については別記事において解説を行います。
ただ,これらの反論がなされた場合であっても,仕事が一応の工程を終了したのであれば報酬を請求することは原則として可能です。
したがって,注文会社に対して建設工事代金の支払請求を行う場合は,内容証明郵便の発送等,前述と同様の手続を進めていくことになります。
注文会社が破産をした場合
上記では,注文会社が建設工事代金を任意に支払わない場合のみを念頭において解説を行いましたが,注文会社が破産をした場合はどのような手続をとるべきなのでしょうか。
以下では,注文会社が破産をした場合において,
①どのような手続が進み,建設請負契約はどのようになるのか
②その場合において建設工事代金を回収するためにはどのような手段が存在するのか
について言及を行います。
1 注文会社(注文会社)が破産した場合はどのような手続となり,建設請負契約はどうなるか
まず,注文会社の破産手続が開始されることになると,破産管財人が選任されます。
破産管財人には,弁護士が選任され,この破産管財人は,破産した注文会社に代わって財産の管理・処分を行うことになります。
そして,破産手続が開始されたとしても,既に締結した請負契約自体は破産手続の結果当然に消滅するわけではなく,建設請負契約自体は残ることになります。
ただ,破産の結果建設工事代金を受け取れない可能性が存在するにもかかわらず,工事を続けなければいけないのは酷ですので,請負人側が建設請負契約を解除することが認められています。
また,破産法上,破産管財人も請負契約を解除することが可能となっています。
このように,建設請負契約自体は破産手続が開始された後であっても,契約自体は継続することになりますが,実務上は,請負契約を実現させることによるメリットが大きくないことから,請負契約が解除されることが多くなります。
請負契約が解除された場合は,今までに工事が完了した出来高部分を算定した上で,破産管財人との間で,既に注文会社が支払っている前払金と精算をすることになりますが,工事の出来高がどの程度であるかによってその後の対応は変わってきます。
【出来高が前払金よりも大きい場合】
前払金よりも完成部分の出来高が多い場合,つまり,注文会社から既に受領した代金よりも完成した工事の程度が進んでいる場合は,請負人は注文会社に対して工事代金の請求をすることが可能になります。
但し,当該報酬請求権は破産手続において請求できる権利に過ぎず,破産者の財産から弁済されるにすぎないので,回収の見込みは低いと言わざるを得ません。
したがって,回収の期待可能性は低いことを前提にした上で,回収をするためには,以下で記載の通り商事留置権を主張する等の措置を検討しなければいけません。
【出来高が前払金よりも小さい場合】
この場合は,完成した仕事の程度よりも前払金の方が大きい,つまり,注文会社から既に受領した代金よりも完成した工事の程度が進んでいない場合は,請負人は注文会社(破産管財人)に対し支払を行う必要がでてきます。
但し,これはあくまで出来高が前払金よりも小さいことが確定したことが前提になります。
そもそもの話として,建設工事の出来高の割合がどの程度であるかということが争点になりますので,破産管財人からの前払金返還請求に対しては,この点を十分に検討したうえで交渉をすることが必要になります。
2 請負人が投入した金銭・労働をできる限り回収するためにはどうしたらよいか
注文会社が破産をした場合,請負人側が報酬代金を回収することは難しい側面があることは否定できません。
そうだとしても,既に投入した金銭や労務をできる限り回収するためには,以下の方法が考えられます。
孫請業者が元請業者と直接契約を締結する方法
まず,請負人が孫請業者,注文会社が下請業者である場合に注文会社である下請業者が破産した場合,孫請業者である請負人は,元請業者と直接契約を締結することが考えられます。
というのも,元請業者としては,下請業者が破産をしてしまったことにより工事の完成がストップしてしまい,施主との関係で債務不履行が生じることから,工事を続行したいと考えることがあるからです。
但し,元請業者に対して契約を締結することを強制することはできないため,請負人としては,あくまで契約締結の交渉を行うというスタンスで進めることになります。
商事留置権を主張する方法
商事留置権とは,簡単に言えば,事業によって生じた債権を有する場合に代金の支払いがなされるまで債務者の所有物の引き渡しを拒める権利のことを言います。
例えば,自社の倉庫に取引先の商品が存在する場合において,取引先の代金不払いがある場合には,取引先からの商品の引渡請求が拒むことができます。
この商事留置権に基づき,建設工事代金の未払を理由に建設中の建物を留置し,注文会社に対し,間接的に代金の支払を求めていくことになります。
ただ,商事留置権が認められるための要件や効果については議論があるため,建設工事代金の未払の際に商事留置権が成立するかについては,難しい論点を検討しなければなりません。
そのため,商事留置権の主張を行う場合は,弁護士にご相談をされることをお勧めいたします。
終わりに
以上,注文会社・元請会社の建設工事代金未払・破産の場合に,建設工事代金を回収する方法について解説を行いました。
建設工事代金の回収をはじめとする債権回収においては,スピードと回収するための戦略が重要になってきます。
また,建設工事代金の回収については,請負契約に関する知識も当然必要になります。
東京中野区所在の吉口総合法律事務所では,建設工事代金の回収をはじめとする債権回収を重点分野としております。
建設工事代金の回収についてご不明点等ございましたら中野区で無料相談対応の吉口総合法律事務所までお気軽にご連絡ください。
新たに外国人を雇用するために知っておく知識(外国人技能実習制度・特定技能制度について)
日本の労働者人口減少による外国人労働力の確保が問題となっています。
このような課題から,入管法が改正され,平成31年4月より改正入管法が施行されます。そこでは新たな在留資格として「特定技能」が設けられています。
この「特定技能」とは別に,平成29年11月に施行された技能実習法に基づき外国人技能実習制度が存在するのですが,上記「特定技能」との違いはどのような点にあるのでしょうか。
本コラムでは,上記制度の違いについて,東京都中野区所在の企業法務を扱う弁護士が解説を行いたいと思います。
▼:特定技能に関するよくある質問については,こちらをご覧ください。
▼:外国人労働者雇用の際の一般的な注意点については,こちらをご覧ください。
なお,特定技能制度については,まだ改正入管法が未施行であるため,法務省で交付されている資料に基づく解説になることにご留意ください。
外国人技能実習制度と特定技能制度の目的の違い
外国人技能実習制度の目的
外国人技能実習制度とは,「人材育成を通じた開発途上地域等への技能,技術又は知識の移転による国際協力をすること」(外国人技能実習法第1条)を目的とする制度になります。
要は,外国人技能実習制度は,外国人に対する技能移転を目的とする制度になります。
この目的からもわかる通り,外国人技能実習制度は労働力の確保を目的とするものはありません。
むしろ,外国人技能実習法では,技能実習が,労働力の需給の調整の手段として行われてはならないことが定められています(法第3条2項)。
「特定技能」制度の目的
これに対し,特定技能制度の目的は,正に外国人労働者の確保による労働力不足の解消のために制定されたものになります。
したがって,外国人技能実習法と特定技能制度では,労働力の確保を目的とするか否かという点で目的が大きく異なると言えます。
このような目的の違いから,外国人技能実習制度では転籍・転職等が原則として認められていないのに対し,「特定技能」では,転籍・転職等が可能になっています。
外国人技能実習制度と特定技能制度のそれぞれの仕組み
外国人技能実習制度の仕組みについて
外国人技能実習制度においては,
①企業単独型
②監理団体型
の2種類があります。①の企業単独型については,例えば,外国企業と親子関係にある会社間において,当該会社に対し技能移転を行うため外国人労働者の受け入れを行う場合がこれにあたります。
もっとも,外国企業と親子関係にあるという例からもわかる通り,この類型はある程度の規模の会社であることが想定されます。
そのため,外国人技能実習においては,次の監理団体型を利用する場合の方が多いのではないでしょうか。
②の監理団体型ですが,これは,実際に外国人の受け入れを行う「実習実施者」の他に,「監理団体」という,外国人技能実施制度が目的に沿って行われているかを確認する団体が存在する類型になります。
外国人技能実習において,多くはこの類型を利用するのではないでしょうか。
この類型では,外国人労働者の受け入れに当たり,概ね以下の流れで手続が進んでいきます。
①監理団体による指導・助言の下実習実施者が実習計画を提出した後,
②外国人技能実習機構が実習計画の審査・認定を行った後,実習実施者に認定通知書を交付し,
③監理団体が認定通知書を添付して入管に対し在留資格認定の申請を行い
④入管から監理団体が在留資格認定書の交付を受け,技能実習生が送付を受けた当該認定書と査証を取得し入国する。
⑤入国後は,技能実習計画に従って技能実習を行う。
外国人技能実習制度の場合,概ね上記流れで手続が進んでいくことになります。
特定技能制度の仕組みについて
新たに創設された特定技能制度の場合,
①特定技能1号
②特定技能2号
という在留資格がそれぞれ設けられています。
前者の特定技能1号というのは,介護やビルクリーニング,建設等の14分野の産業について,外国人がこれらの就労を目的として日本に在留することができる資格になります。
在留期間としては,最長5年になり,在留資格の取得に当たり生活や業務に必要な日本語能力が必要になります。
後者の特定技能2号というのは,同1号を発展させたものであり,同1号よりも更に熟練した技能を有する者が取得できる在留資格になります。
特定技能制度の場合は,外国人の他,外国人の雇用先となる「受入れ機関」,「受入れ機関」が行う外国人の支援計画に基づく支援の援助を行う「登録支援機関」が存在します。
そして,「受入れ機関」である企業が外国人労働者の受け入れを行うに当たっては,外国から受け入れるのか,国内から受け入れるのかにもよって多少異なりますが,
①当該外国人との特定技能雇用契約の締結
②(受入れ機関である企業が外国人の支援ができない場合)登録支援機関との委託契約の締結
③受入れ機関による特定技能外国人支援計画の作成
④在留資格認定・在留資格変更許可の申請
という流れで進んでいくことになります。
外国人技能実習制度及び特定技能制度の注意点
外国人技能実習制度の注意点について
外国人技能実習制度のうち,特に利用されるのが監理団体型であるため,監理団体型における注意について論述します。
【監理団体における注意点】
監理団体が監理事業を行うためには,主務官庁の許可が必要であり,許可のための要件がそれぞれ定められています。
例えば,許可要件の一つとして「監理団体の業務の実施の基準に従って事業を適正に行うに足りる能力を有すること」が必要です。
上記要件を具体化するために,外国人技能実習規則では監理業務の実施の基準を設けているのですが,監理団体を運営するためには,前期基準を守らなければなりません。
このような基準を守らない場合,許可の取消等がなされてしまうため,注意が必要です。
【実習実施者の注意点】
外国人技能実習制度において,技能実習生との間で雇用契約を締結するのは,実習実施者になります。
したがって,技能実習生との間の雇用契約の締結においては,労働基準法等労働法規に従う必要があります。
また,実習実施者は,技能実習計画に従った技能実習を行う必要があります。
技能実習計画に従わない技能実習を行った場合,技能実習計画が取り消され,技能実習ができなくなってしまうこともありますので,技能実習計画に従った技能実習を行うよう注意しましょう。
特定技能制度の注意点について
特定技能制度を利用して外国人と雇用契約を締結しますが,この雇用契約は,外国人であるからと言って報酬額を不当に安くすることはできません。
雇用契約についても労働基準法の適用がありますので,これらの法令を遵守することが必要になります。
終わりに
以上,外国人技能実習制度及び特定技能制度について解説を致しました。
人手不足のために外国人を労働者として雇い入れる場合は,まずは制度を理解するとともに,これらに対する法規制について理解を深める必要があります。
東京都中野区所在の吉口総合法律事務所では,外国人技能実習制度や特定技能制度を含めた労働問題・企業法務問題についてご相談を随時受け付けております。
外国人技能実習制度や特定技能制度についてご不明な点がおありの方は,当ホームページのお問い合わせフォームまたは事務所までお気軽にお電話ください。