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立退料を支払わないで明渡しができるのはどのような場合か
中野区で不動産無料相談対応の吉口総合法律事務所では,建物のオーナー様(賃貸人側)側からいただくご相談の中で,「建物の立退きを行いたいが立退料を支払いたくない。立退料は必ず支払わなければいけないか。」という不動産に関するご質問をいただきます。
立退きを求める場合は基本的には立退料を支払わなければならないことが多いです。
しかし,同じ建物の明渡を求める場合であっても,立退料を支払わなければならないケースと支払わなくてよいケースもあります。
また,そのままでは立退料を支払う必要性が高い場合であっても,事前の対策によって立退料を支払わずに立退きが可能になる場合もあります。
中野区で不動産無料相談対応の吉口総合法律事務所の本コラムでは,立退きを求めるにあたって立退料を支払わなければいけないケースを解説した上で,立退料を支払いたくないオーナー様側が立退料を支払わずに明渡を求めるための方法について解説をしていきます。
▼立退料の計算方法等についてはこちらのコラムの下部をご参照ください。
立退料を支払わないといけない場合はどのような場合か
まず,前提として,立退きを求めるにあたり立退料を支払わなければいけないケースとしてはどのような場合があるでしょうか。
立退料を支払わなければいけない主たるケースとしては,
①賃貸借契約の契約期間満了後の更新拒絶
②賃貸借契約の中途解約及び期間の定めのない賃貸借契約の解約
があげられます。
上記の場合において,例えば,建物利用の必要性等が賃貸人と賃借人の双方ともに認められる場合には,立退料が問題になってきます。
逆を言えば,①及び②の場合であっても,例えば,賃借人側が建物を全く利用していない場合等,賃借人側に建物利用の必要性が全くない場合等には,立退料を支払うことなく立退きが認められる場合もあります。
他方で,①,②とは別に,
③賃料滞納による解除
④用法遵守義務違反に基づく解除
等の債務不履行解除の場合は,賃貸借契約を解除することによって明渡を求めることが可能であるため,立退料の支払の必要はありません。
ご相談者の中には,賃料滞納が生じている場合等にも立退料の支払をしなければいけないと誤解している方もいらっしゃいますので,この点に注意が必要です。
したがって,基本的に,①賃貸借契約の契約期間満了後の更新拒絶②中途解約または期間の定めのない賃貸借契約の解約の場合に立退料の支払が必要になることをまずおさえましょう。
定期建物賃貸借に切り替えることができれば更新拒絶の際に立退料を支払う必要はない
賃借人との賃貸借契約が定期建物賃貸借契約であれば,賃貸借契約の更新拒絶をしたとしても立退料の支払の必要はありません。
定期建物賃貸借契約とは,賃貸借契約のうち契約の更新が無い条項を定めることができる契約になります。
現在締結している契約が普通賃貸借契約であっても,普通賃貸借契約を合意解約した上で定期建物賃貸借契約を新たに締結すれば,定期建物賃貸借契約に切り替えることができます。
もっとも,定期建物賃貸借契約は,更新が無い点で借家人の利益を害することになるため,同契約が成立するためには,通常の賃貸借契約よりも厳しい要件が課せられています。
定期建物賃貸借の要件
定期建物賃貸借契約が成立するためには,
①賃貸借期間の定め
②更新否定条項の存在
③書面による契約
④事前説明及び説明書面の交付
が必要になります。
これらの要件を充たさない賃貸借契約の場合は,定期建物賃貸借契約であることが否定され,通常の建物賃貸借になります。
したがって,同契約を締結するにあたっては要件を意識することが必要になります。
しばしば定期建物賃貸借契約という題名になっているものの定期建物賃貸借契約の要件を充たしていない契約書もありますので,締結しようとしている契約が定期建物賃貸借契約の要件を充たしているかご注意ください。
定期建物賃貸借契約の注意点
定期建物賃貸借契約の注意点の一つとしては,繰り返しになりますが,定期建物賃貸借契約の締結にあたり,要件を充たしているかどうかを確認することが必要ということです。
例えば,要件②の更新否定条項について,契約条項の定め方はどのようにしなければいけないか,④の事前説明について,事前説明の程度はどの程度か,また,交付すべき説明書面と契約書は別にしなければならない等,各要件がどのような意味を持つかを意識しながら要件検討をする必要があります。
また,もう一つの注意点としては,普通建物賃貸借契約から定期建物賃貸借契約への切り替えにあたっては,賃借人にとって不利益な内容になることから,賃借人の真の同意を得ることが必要ということです。
具体的には,賃借人から切り替えの同意を得るにあたっては,強制を伴わないことは当然として,賃借人に対して更新が無い点で不利益になること等を承知させることが必要になります。
賃料増額請求を行って賃借人が賃借し続けるメリットを無くす
定期建物賃貸借契約への切り替えよりも間接的な方法になりますが,賃借人の立退きを促す方法としては,賃借人に対し賃料増額請求をすることが考えられます。
賃借人が現在の不動産を使い続けたい理由が,現在の不動産の賃料が低額であることもありますので,この点に対応することが立退きをする上での一つの事前対策になります。
賃料増額請求とは,直近合意から事情の変更があった場合において,賃貸人の一方的な意思表示によって賃料の増額を求める請求になります。
賃料増額請求が認められた場合は,賃借人の承諾がなくとも賃料の増額が可能になるとともに,賃借人は,賃料増額請求後賃借人が支払った相当賃料額との差額及び差額に対する10%の利息を支払う必要があります。
この方法により立退きの準備を行う事も検討してよいと思います。
終わりに
以上,立退料を支払わずに明渡ができるのはどのような場合かについて解説を行いました。
立退きを含む不動産問題は,法律知識が必要になるため,弁護士にご相談されることが不動産投資や不動産管理等をする上で極めて重要だといえます。
東京都中野区の吉口総合法律事務所では,不動産オーナー様側からの立退き交渉等の不動産問題について重点的に扱っております。
また,不動産オーナー様側や管理会社向けの顧問契約(月額2万円~)についても常時承っております。
立退き交渉を含む不動産問題についてお悩みの方は中野区で無料相談対応の吉口総合法律事務所までお気軽にお問い合わせください。
共有不動産の売却に協力してくれず売却できない場合はどうしたらよいか
中野区で不動産無料相談対応の吉口総合法律事務所では,
「土地及び土地上の建物の共有持分を所有しているが,建物には別の者が住んでいて不動産を利用できない。」
「使っていない共有不動産を所有しているが,固定資産税の請求書が毎年届いており支払ばかりで困っている。」
等の共有不動産の処分等に関するご相談を受けることがあります。
共有持分は持分のみでは利用方法等に制限があるため,不動産全体を売却をした方が経済的なメリットが得られることがあります。
しかしながら,他の共有者の任意の協力が得られないことから,現状維持の状態になってしまっていることもよくあるところです。
中野区で不動産無料相談対応の吉口総合法律事務所作成の本コラムでは,不動産の共有持分を有していることによって何ができるか,また,共有不動産の売却を希望しているが他の共有者から協力が得られない場合はどのようにしたらよいかについて解説を行います。
不動産共有持分だけでできることとできないことは何か
まず,共有持分を有していることによって,共有持分を有している者(以下「共有持分権者」といいます。)はどのようなことができるのでしょうか。
この点については,共有持分権者は,共有不動産の保存行為や持分に応じた収益の取得をすることができます。
例えば,共有している不動産に不法占有者がいる場合は,共有持分権者は他の共有持分権者の同意なく不動産の明渡しをすることができます。
また,他の共有持分権者が無断で建物に居住している場合は,当該共有持分権者に対し賃料相当損害金の請求をすることができます。
他方で,他の共有持分権者の同意が無ければ不動産全体の売却や賃貸借契約の締結をすることはできません。
したがって,共有している不動産を売却したい場合や賃貸をしたい場合においては,他の共有持分権者から同意を得る必要があります。
不動産の共有持分だけを売却することのメリット・デメリット
それでは,他の共有持分権者からの不動産売却の同意が得られない場合は,共有持分のみを売却することはできないのでしょうか。
この点,共有持分権者は,自己の共有持分のみであれば,共有持分を売却することは可能です。
共有持分のみを購入する不動産業者もいるため,場所にもよりますが,全く値段がつかないという事は無いでしょう。
この共有持分のみの売却によって,共有不動産に関する問題から離脱することが可能というメリットはあります。
もっとも,共有持分を取得したとしても,新たに共有持分を取得した者は,従前と同様に自由に不動産を利用することができません。
新たな共有持分権者は,やはり他の共有持分権者の同意が無ければ売却をすることもできません。
このような事情から,共有持分権者が不動産業者に対し共有持分を売却しようとしても,安く買いたたかれてしまいます。
したがって,共有持分だけの売却をすることにより,時価よりも相当安い金額で売却せざるを得なくなるという点が,共有持分のみを売却するデメリットであるといえるでしょう。
共有物分割請求を行うことによって共有不動産の問題解決が可能になる。
前述のとおり,共有持分のみを売却すると安くなってしまう一方で,不動産全体を売却する場合は他の共有持分権者の同意が必要になります。
それでは,他の共有持分権者が共有不動産の売却に同意しない場合はどうしようもないのでしょうか。
そのようなことはなく,共有持分権者は,共有物分割請求を行うことによって問題を解決することが可能です。
共有物分割請求とは,現在の共有状態を解消するために,共有物を
①現物分割
②全面的価格賠償
③換価分割
といういずれかの方法で共有関係を解消する手続になります。
現物分割について
①の現物分割は,持分に応じて実際に不動産を現物で分ける方法になります。
例えば,1つの土地を分筆して持分に応じて二つの不動産に変える手続です。
これによって,共有不動産が二つの単独所有不動産に変わることになり,共有関係が解消することになります。
もっとも,土地上に建物があるような場合は,建物を分けることはできませんので現物分割は難しくなりますし,分割するためには土地もある程度の広さが必要になります。
また,土地を分けるとしても,分け方によって不動産の評価額は大きく変わることもあるため,実際には現物分割が難しいこともあります。
全面的価額賠償について
全面的価額賠償とは,共有持分権者が他の共有持分権者の持分を強制的に買い取るという手続になります。
例えば,3000万円の土地について共有持分権者がそれぞれ2分の1の持分を有する場合において,1500万円を他の共有持分権者に支払うことによって他方の共有持分を買い取ることになります。
他方の共有持分権者からの持分を取得することによって,共有関係が解消することになります。
この分割方法が認められるためには,資力があることと持分を取得することが相当であることが必要になります。
この全面的価額賠償でしばしば紛争になる点としては,代償金を支払う前提としての不動産の評価額をいくらにするかという点です。
例えば,不動産に抵当権が設定されている等の時は不動産の評価額がいくらであるか問題になります。
他にも問題が生じる事例が多数ありますが,この点についてはご相談ください。
換価分割について
換価分割とは,不動産を競売した上で売却代金を持分に応じて分配するという手続になります。
単独不動産として売却した上で代金をわけることになるため,共有状態は解消されることになります。
競売をすることによって持分単独で売却するよりは高く売却ができますが,競売に対する入札額によっては代金が安くなってしまう可能性もあります。
したがって,競売を行うことによるメリットデメリットを考慮しつつ,例えば,途中で他の共有持分権者と和解を行って任意で第三者に売却することもあります。
終わりに
以上,共有不動産の売却に協力をしてくれない場合に取るべき方法について解説を行いました。
共有状態のままの不動産は,固定資産税が毎年発生する一方で,不動産を利用・売却することもできないことから,負の財産になってしまいます。
このような状態を解消するためにも共有物分割請求を行うことを検討しても良いと思います。
東京都中野区所在の吉口総合法律事務所では,共有物分割請求を含む不動産問題を重点分野として扱っており,解決事例等も豊富にございます。
共有物分割請求を含む不動産問題にお悩みの方は,中野区で不動産無料相談対応の吉口総合法律事務所までお問い合わせください。
賃貸借契約を更新しないと言われた店舗はどのように対応したらよいか
中野区で不動産無料相談対応の吉口総合法律事務所では,
「貸店舗において飲食店を営業していたところ,突然大家(オーナー)から期間満了を理由とする退去を求められたが退去しないといけないのか」
「ビルの一室において小売店舗を経営しているところ,管理業者を通じて,賃貸借契約を更新しないと言われて困っている。」
このような建物(店舗)退去に関するご相談をよくいただきます。
中野区で無料相談対応の吉口総合法律事務所作成の本コラムでは,店舗側(賃借人)が建物オーナーから賃貸借契約を更新しないと言われた等,退去を求められた場合に店舗側(賃借人)がとるべき対応について解説をしていきます。
建物(店舗)から退去を求められた場合,まずはオーナー側の建物退去を求める理由を確認する。
建物(店舗)から退去を求められている事案においては,オーナー側が何らかの理由を主張して店舗側(賃借人側)に建物(店舗)からの退去を求めてきます。
オーナー側が店舗側に退去を求める理由としては,①賃料滞納②期間満了・更新拒絶等が考えられます。
①はこちら側が賃料を支払っていないことを理由に契約を解除して退去を求めるパターンです。
②は賃貸借契約の契約期間が次回で満了するが契約の更新をしないことを理由に退去を求めるパターンです。
オーナー側が建物(店舗)からの退去を求める理由によって対応方法が変わってくるので,まずは建物(店舗)から退去を求める理由を確認しましょう。
なお,①の賃料滞納については,建物(店舗)の明渡・退去の請求は比較的認められやすいですが,②の期間満了・更新拒絶を理由とする退去請求については,オーナー側の退去請求は簡単には認められないため,店舗側(賃借人側)は退去の請求に対して比較的有利に交渉を進めることができます。
賃貸借契約の期間満了・更新拒絶を理由とする退去・立ち退きを求められた場合の店舗側の対処法
賃貸借契約の期間満了にもかかわらず,契約更新を拒絶したことを理由とする建物(店舗)からの退去請求は簡単には認められません。
それでは,どのような場合に建物(店舗)からの退去請求が認められるかというと,①契約終了1年前から6ヵ月前までの間における更新拒絶の通知②更新後における遅滞なき異議③立ち退きを認める正当事由が必要になってきます。
更新拒絶の通知を放置したり退去・立退きの交渉がまとまらない場合はどのように手続が進むか
前提として,仮に期間満了・更新拒絶を理由とする退去・立退きの請求を放置した場合,または,放置はしなかったもののオーナー側と交渉がまとまらない場合はその後の手続はどのように進むのでしょうか。
想定されるケースとしては,①オーナー側から建物明渡訴訟が提起される②そのままの状態が続くということが考えられます。
①の場合ですが,オーナー側がどうしても建物(店舗)から退去して欲しいと考えた場合は,店舗側を被告として建物明渡請求訴訟を提起することが予想できます。
そして,同訴訟において,オーナー側が後述の正当事由等を主張した上で裁判所に対し退去の請求を求めることになります。
次に,②の場合ですが,この場合は相応の立退料の支払うことが予想されるケースにおいて,オーナー側が,立退料を支払うくらいであればあえて退去を求めないという考えに基づきあきらめるパターンです。
但し,現在の店舗の賃料が相場より安い場合は,オーナー側が将来的に賃料増額請求等を行ってくるかもしれませんので,店舗側としては注意が必要です。
賃貸借契約の更新拒絶の通知及び更新後における遅滞なき異議の具体的内容
前述のとおり,期間満了・更新拒絶を理由とする退去の請求が認められるためには,①契約終了1年前から6ヵ月前までの間における更新拒絶の通知②更新後における遅滞なき異議が必要になります。
上記①及び②を怠った場合には,期間満了・更新拒絶を理由とする建物(店舗)からの退去請求は認められないのですが,通常,これらの手続はとられていることが多いです。
すなわち,通常,契約期間満了前の1年前から6ヵ月前までの期間において,オーナー側から配達証明付の内容証明郵便により更新拒絶の通知が届き,期間満了後に建物利用を続けている場合には,オーナー側から同郵便を利用して異議が述べられることが多いです。
そして,オーナー側からは,賃貸借契約が期間満了により終了していること及び賃貸借契約書記載の違約金条項があることを理由に月額の賃料の倍額の違約金が発生する旨連絡を受けることも多いです。
期間満了・更新拒絶を理由とする建物(店舗)からの退去・立ち退きを求めるには正当事由が必要
しかしながら,これらの請求に素直に従わなければいけないということはありません。
なぜならば,期間満了・更新拒絶を理由とする建物(店舗)からの退去・立退きの請求が認められるためには正当事由が必要だからです。
それでは,どのような場合に正当事由が認められるのでしょうか。
それは,平たく言えば,オーナー側(賃貸人側)と店舗側(賃借人)の双方の建物利用の必要性を比較考慮して,オーナー側の必要性が大きいが,賃借人側には必要性が小さい,または,同程度であるが立退料で補完できる場合に正当事由が認められるといえます。
この建物利用の必要性については,各事由による必要性の強弱があるため,建物(店舗)からの退去を求められている店舗側は,オーナー側の建物利用の必要性がどの程度強いか,また,店舗側の建物利用の必要性がどの程度強いかを整理した上で交渉を進める必要があります。
例えば,オーナー側が,不動産を高く売却するために建物(店舗)からの退去・立ち退きを求めている場合は,建物利用の必要性が全くないわけではありませんが,老朽化に伴う建替え等よりは建物利用の必要性は小さくなります。
また,退去を求められる店舗側が営んでいる事業が飲食店であれば場所的利益が大きいのに対し,事務所等であれば相対的には場所的利益が小さくなります。
このように,オーナー側の建物利用の必要性の有無及び大小並びに賃借人側の建物利用の必要性の有無及び大小から正当事由の有無が変わってきます。
そして,退去の請求を退けることを希望する場合は当然として,退去を前提に高額な立退料を取得することを望む場合であっても,立退料が建物利用の必要性を補完する性質であることからすれば,高額の立退料を取得するためには建物利用の必要性を整理した上で交渉を行うことが重要になってきます。
期間満了・更新拒絶を理由とする建物退去・立ち退きを求められた場合の立退料の相場と算出方法
先に述べた通り,オーナー側及び店舗側の建物利用の必要性を比較考慮した上で,双方に同程度の必要性が存在する場合において立退料の問題が生じます。
それでは,立退料の算定及び相場はどのように決まるのでしょうか。
しかしながら,これに対する回答は明確には存在しないと言わざるを得ません。
立退料の算定方式には,①借家権価格②移転に伴う実費・損失価格③併用方式等が存在しますが,どの方式をとるべきかということは確定していません。
これらの各方式ですが,平たく言えば,①の借家権価格は,更地価格に対して借地権割合や借家権割合を乗じて算出する価格であり,②の移転に伴う実費・損失価格は,内装や造作に対して発生する費用や休業補償が含まれます。
これらの算出方式を基に立退料の計算がなされますが,これらの立退料の交渉も,建物利用の必要性が基礎になるため,まずは先に述べた建物利用の必要性の整理と主張・立証が必要になります。
終わりに
以上,建物(店舗)から賃貸借契約を更新しない等の理由により退去を求められた店舗はどのように対応したらよいかについて,期間満了・更新拒絶を理由とする退去にを中心に解説を行いました。
期間満了・更新拒絶を理由とする建物(店舗)から退去を求められた場合は,現在の場所で営業を続けたい場合または退去を前提とした立退料の交渉をすることが考えられますが,いずれの場合であっても,正当事由の検討を踏まえた交渉が必要になります。
したがって,期間満了・更新拒絶を理由とする立退き・退去を求められた場合は,立退き・退去案件を重点的に扱う弁護士に依頼をすることが大事です。
東京都中野区所在の吉口総合法律事務所は,期間満了・更新拒絶を理由とする退去・立退き案件を重点的に扱っており,5000万円を超える立退料を取得した実績もございます。
期間満了・更新拒絶を理由とする退去・立退き案件についてご不明な点がございましたら,当ホームページのお問い合わせフォームよりお問い合わせください。
借地権付建物を売却するためにはどのようなことを注意すべきか
中野区で弁護士への不動産無料相談対応の吉口総合法律事務所では,
「借地権付建物を相続したが地代が発生するため売却をしたい」
「現在借地を有しているが子供に贈与したい」
等のご相談をいただいております。
それでは,借地権付建物の所有者がこのように考えた場合,借地権付建物の売却を行うにあたってどのような点に気を付けなければならないでしょうか。
中野区で不動産無料相談対応の吉口総合法律事務所本ページでは,借地権付建物を売却するためにはどのような手続が必要か,そして,借地権付建物を売却するためにはどのような点に気を付けなければならないかについて解説を行います。
借地権付建物の売買方法の種類と注意点
借地権付建物を売却するにあたっては,
①借地権付建物を第三者に売却する方法
②地主と協力して土地及び建物を第三者に売却する方法
③地主に借地権付建物を買い取ってもらう方法
があります。
借地権付建物を第三者に売却する方法
借地権付建物を第三者に売却するにあたっては地主の承諾が必要になります。
仮に地主から承諾を得ずに売却をしてしまうと,建物に従って借地権も売却されたことになり,借地権の無断譲渡として地主から借地契約を解除されてしまいます。
借地権付建物の売却にあたってはこの点について必ず注意しなければなりません。
地主との交渉の結果,借地権付建物の売却の承諾を得られた場合は地主に対して譲渡承諾料を支払うことが一般的です。
この譲渡承諾料については目安としては借地権価格の1割とされていますが,地主からは,相場よりも高い金額を支払わなければ借地権譲渡に承諾しない旨伝えられることもあります。
その場合は地主との交渉が必要になってきます。
地主と協力して土地及び建物を第三者に売却する方法
地主の承諾のもと借地権付建物を第三者に売却する方法とは別の方法として,地主と協力して不動産を売却する方法があります。
この方法をとることができれば,買主は,購入後,借地権の負担のない土地(更地)として利用することができるため,不動産を高く売れる可能性があります。
もっとも,この方法をとるためには地主との協力が必要になりますので,やはり地主が共同して不動産を売却することに承諾しなければこの方法をとることはできません。
また,仮に地主に不動産を売却する意向があったとしても,売却価額の配分について地主側から承諾を得る必要があることについても注意が必要です。
地主に借地権付建物を買い取ってもらう方法
借地権付建物を売却する方法の一つには,地主側に借地権付建物を買い取ってもらうという方法もあります。
もっとも,借地権付建物の共同売買の方法と同じく,地主側に借地権購入の意図が無い場合は強制的に買い取ってもらうことはできません。
したがって,地主が借地権の買取に承諾しない場合はこの方法をとることはできません。
地主が借地権付譲渡に承諾しない場合は借地非訟手続(土地賃借権譲渡許可申立)を利用する
借地権付建物の売却について地主が承諾しないことはよくありますが,このような場合は借地非訟手続(土地賃借権譲渡許可申立)を利用することによって問題が解決することもあります。
この借地非訟手続(土地賃借権譲渡許可申立)とは,裁判所が地主に代わり借地権譲渡承諾の許可を出してくれる手続です。
借地非訟手続(土地賃借権譲渡許可申立)の流れ
この借地非訟手続(土地賃借権譲渡許可申立)は,借地権付建物が存在する場所を管轄する裁判所に対し申立てを行います。
申立後,裁判所は,借地権が存在することを前提に,借地権の譲渡が地主にとって不利でないこと等を審理することになります。
審理の結果,借地権の譲渡が地主にとって不利になる等の事情がある場合は請求棄却,そうではない場合は譲渡許可決定がなされることになります。
もっとも,借地権譲渡許可の決定がなされる場合であっても,譲渡承諾料として借地権価格の1割程度の反対給付が命じられることもよくあります。
また,裁判所による許可決定ではなく和解で終了することもあり,この場合は早期に紛争が解決することもあります。
借地非訟(土地賃借権譲渡許可申立)の利用の注意点
ここまで説明したところによれば,借地非訟手続を利用した上で借地権譲渡が地主に不利になる事情等がなければ,地主の承諾がなくとも借地権付建物の売却は容易のようにも思われます。
もっとも,借地非訟手続を利用するにあたっては以下の点に注意が必要です。
借地権の残存期間が必要
まず,土地賃借権譲渡許可決定がなされるためには,借地権の残存期間がある程度(目安としては2,3年程度)残っている必要があります。
これは地主側の期間満了による契約終了に基づく明渡しを求める機会を保障するためです。
このような制限があるため,借地非訟申立てをする場合は,法定更新後等に申立てを行う等,申立ての時期を事前に検討する必要があります。
地主が借地権を買い戻す可能性がある
次に,借地非訟手続においては,地主に介入権という権利が認められています。
この介入権とは,地主側が借地権者から強制的に借地権を買い取るという制度です。
地主によって買い取られる借地権の価格は時価になるため借地権者側としては不利にはならないことが多いです。
もっとも,親族等特定の者への譲渡を希望していたにもかかわらず介入権行使によってこれができないという事もあり得るので,申立てにあたってはこの点にも注意が必要です。
地主から抵当権設定の承諾書までは取得できない
また,借地非訟手続では地主から抵当権設定の承諾書までは得られないことにも注意が必要です。
借地権付建物を売却するにあたっては,買主は銀行から融資を受けることが通常ですが,融資を受けるにあたっては銀行から抵当権設定の承諾書を求められることがあります。
この抵当権設定承諾書とは,地主が借地権に抵当権を設定することについて承諾をしたことを証する書面になります。
本来であればこのような書類は法的にはあまり意味がないのですが,金融機関が要求する以上は無視をすることができません。
しかしながら,裁判所による譲渡許可では地主に対してこのような書面を交付することまでは要求できませんので注意が必要です。
借地非訟手続を利用するにあたっては利用前にこの点を踏まえて工夫をしておく必要があります。
終わりに
以上,借地権付建物を売却するためにはどのようなことを注意すべきかについて解説を行いました。
借地権付建物の売却を含めた不動産売買に関する紛争が生じた場合であっても弁護士等の専門家を介在させることによって問題が解決することがあります。
東京都中野区所在の吉口総合法律事務所では,借地権付建物の不動産売買を含む不動産問題に関して重点的に取り扱いを行っております。
借地権付建物の売却を含む不動産問題に関するご相談は中野区で不動産無料相談対応の吉口総合法律事務所までご相談ください。