Author Archive

相続財産(遺産)に借地権付建物が含まれる場合に知っておくべき基礎知識と注意点

2020-04-16

 中野区で無料相談対応の吉口総合法律事務所では,遺産相続に関するご相談及びご依頼をいただいておりますが,その中には,借地権付建物に関する遺産分割や遺留分に関するご相談があります。

 借地権付建物が遺産に含まれる場合は,通常の遺産分割とは異なった配慮をしなければならないため注意が必要です。

 本コラムでは,借地権付建物の相続において,知っておいた方が良い基礎知識や借地権付建物の遺産分割の注意点について解説を行います。

▼借地権付建物の売却に関してご不明点がある方は,こちらをご参照ください。

借地権付建物は相続の対象となる遺産になるか

 被相続人が借地権付建物を所有したまま相続が発生した場合,建物のみならず借地権も遺産になります。

 「建物については相続の対象になると思っていたが,借地権が対象になるとは思わなかった」とおっしゃる方もいますが,借地権と建物のそれぞれが相続の対象になります。

 むしろ,後述する通り,建物よりも借地権の方が価値が高いことが多いため,借地権が相続の対象になることは覚えておく必要があります。

 なお,借地権が複数名による共有状態(準共有といいます。)になっている場合もありますが,借地権が準共有の場合も,通常の場合と同様に相続の対象となる遺産になります。

借地権付建物を相続した場合地主に対して譲渡承諾料を支払う必要はあるか

 先に結論を言いますと,借地権付建物を相続したとしても,地主から譲渡の承諾を得る必要はないため,地主に対する譲渡承諾料の支払も当然不要です。

 後述するとおり借地権の譲渡をするためには地主の承諾が必要であり,借地権の譲渡をするときは通常地主に対して譲渡承諾料を支払います。

 しかし,相続の場合は,相続の結果借地権権が被相続人から相続人に移転しますが,それは相続人が被相続人の地位をそのまま相続したにすぎないため,譲渡があったわけではありません。

 したがって,地主の承諾は不要です。

 相続発生後,「地主から譲渡承諾料の請求を受けたがどうしたらよいか」というご相談をいただくこともありますが,譲渡承諾料を支払う必要はないので支払を拒否しても問題ありません。

 但し,遺贈があった場合は地主の承諾が必要になりますので注意が必要です。

 例えば,被相続人が遺言書を作成し,遺言書において「借地権付建物を~に遺贈する」と記載されていた場合は,受遺者は地主の承諾を得る必要があります。

 受遺者が地主に承諾を求めたにもかかわらず,地主が承諾をしない場合は,裁判所の手続を利用して借地権譲渡許可を受けることになります。

 この場合は遺贈後に譲渡承諾を得ることになりますが,東京高裁昭和55年2月13日決定は,遺贈後であっても建物の移転登記又は引渡しを受けていないことを理由に,借地権譲渡許可の申立ては適法としています。

借地権の評価額は時価で算定する

 借地権が相続の対象である遺産の場合,借地権を時価で評価します。

 不動産の評価額は固定資産評価額や路線価等様々な評価方法が存在しますが,遺産分割の際は時価で評価します。

 この時価の算定方法は様々なものがありますが,更地価格を算定した上で更地価格に借地権割合を乗じて算出することが一般的です。

 更地価格の評価は,公示地価や取引事例を比較した上で算出することが多いです。そして,借地権割合は路線価図に記載があるため,路線価図記載の借地権割合を乗じて算出します。

 具体的には,相続の対象となる借地権付建物の路線価図を確認し,金額とA~Gまでの記号を確認し,路線価図右上のA~Gまでの割合を更地価格に乗じます。

 例えば,更地価格が1000万円であり,相続の対象となる路線価図にDと記載がある場合は,借地権割合は60%ですので,借地権の評価額は600万円になります。

 但し,注意が必要なのは,あくまでそれは理屈上の評価額であり,実際にその金額で売却できるとは限らないということです。

 借地権付建物の場合は,売却をするためには地主の承諾が必要になります。そして,融資を受けるときにも地主の協力が必要になりますので,地主の協力が得られない場合は買い手が限られます。

 このような場合は,売却額をディスカウントせざるを得ないケースもでてきますので注意が必要です。

借地権付建物の分割方法

 借地権権付建物をはじめとする遺産の分割方法には,現物分割や代償分割等様々の種類があります。

 もっとも,借地権付建物の分割は,代償分割または換価分割を選択することが多いです。

 借地権付建物の代償分割とは,相続人の一人が借地権付建物を単独取得し,他方の相続人に対して代償金を支払う分割方法であり,換価分割とは,借地権付建物を売却(競売)し,売却代金を相続割合に応じて分割する分割方法です。

 代償分割の場合は地主の承諾は不要ですが,換価分割の場合は地主の承諾が必要になります。

 借地権付建物の場合は,通常の不動産よりも地代や更新料等のランニングコストが発生するため売却することが多いですが,地主が譲渡承諾をしないケースや譲渡承諾料の折り合いがつかないケースもでてきます。

 そのような場合の対処法はこちらのページで解説をしていますのでご確認ください。

 なお,遺産分割協議がまとまらない場合で換価分割となった場合は最終的には競売によって売却されることになります。

 この場合,相続人にはもはや関係ありませんが,競売で競落された場合であっても買受人は地主の承諾を得る必要があります。

借地権付建物の相続の際の注意点

 借地権付建物の相続の際の注意点としては,相続発生後,相続人全員が地代の支払義務を負うという事です。

 相続人は自らの相続割合に応じて遺産及び債務を相続しますが,地代の支払債務は不可分債務と呼ばれ,全員が全額を支払う義務を負います。

 そして,地代の不払いは賃貸借契約の解除事由になりますので,借地権付建物の遺産分割が未了だからといって滞納をしないようにする必要があります。

終わりに

 以上,相続財産に借地権付建物が含まれる場合に知っておくべき基礎知識と注意点について解説を致しました。

 借地権付建物の相続の場合,相続人だけではなく地主との関係も考えなければいけないため,通常の相続とは異なった考慮をする必要があります。

 そして,借地権付建物を仮に換価分割をする際には,売却に苦労することがあるため,借地権付建物の相続に伴う売却に慣れている弁護士に依頼することが良いと思います。

 東京都中野区所在の吉口総合法律事務所では,借地権付建物の相続を含む遺産相続分野を重点分野としており,また,遺産分割等のノウハウや経験がございます。

 借地権付建物の相続に関しご不明点がございましたら,中野区で無料相談対応の吉口総合法律事務所までご相談ください。

【お知らせ】新型コロナウイルスに対する対応について

2020-04-01

 当事務所では,新型コロナのウイルスに対する感染予防・拡大防止のため,法律相談中も弁護士がマスク着用のまま対応をさせていただきます。

 また,咳や発熱があるご相談者様は事前にご申告をお願いいたします。

存命中の親の預金が現在使い込まれているときの防ぎ方と解決方法

2020-03-10

 中野区で無料相談対応の吉口総合法律事務所で相続のよくいただくご相談内容としては,相続預金の無断引き出し・使い込みのご相談です。

 これと似た類型のご相談としては,親族が生前・存命中における預貯金の無断引き出し・使い込みの問題があります。

 具体的には,「自分の息子に預貯金の管理を委ねたが,無断で引き出されているようなので預金の返還請求をしたい」,「自分の親が弟に預貯金の管理を依頼したようだが,親の知らない間に預貯金が引き出されているようであり,何とかしたい。」といったご相談になります。

 このように,親族の生前・存命中に預貯金が無断で引き出されて使い込まれていることが疑われる場合は,どのように対処すればよいでしょうか。

 中野区で無料相談対応の吉口総合法律事務所作成の本コラムでは,親族の生前・存命中に預貯金が無断で引き出されて使い込まれている場合の対処法について解説を行います。

▼相続が既に発生している場合における預金の使い込みに関してはこちらのページをご参照ください。

▼預金の使い込みの解決事例はこちらのページをご参照ください。

すぐにしなくてはならないことは,これ以上預金が引き出されることを防ぐこと

 親族の生前・存命中に預金が無断で引き出され使い込まれていることが判明した場合は,まずはこれ以上預金が引き出されることを防ぐ必要があります。

 具体的には,預金がこれ以上無断で引き出されないように,当該親族が銀行等の金融機関を訪問した上で届出を行います。

 親族の判断能力が保たれている場合は,金融機関に相談・届出をすれば,これ以上の引き出しができないよう対処ができます。

 他方で,仮に親族の判断能力に疑義が生じている状態であれば,当該親族に対する後見開始の申立てを行うことを検討します。

 このように,無断で引き出され使い込まれた預貯金の返還請求を行う前に,まずはこれ以上被害が広がることを防ぐことをしましょう。

引き出された預金額の確認を行う

 これ以上の預金の無断引き出し・使い込みが防ぐことができた後は,無断で引き出された預貯金額がいくらであるかを確認します。

 この確認は,親族が引き出された預金口座の通帳を保管していれば通帳を確認し,通帳の保管をしていない場合は金融機関を訪問して取引履歴を取得します。

 取引履歴等を確認し,身に覚えのない引出をピックアップすることによって,無断で引き出され使い込まれた可能性がある金額が徐々に明らかになります。

親の預金を引き出している者に対して引き出された預金の返還請求を行う

 預貯金が無断引き出された上で使い込みがされた場合は,引き出し・使い込みを行った者に対して返還請求をすることができます。

 この返還請求を行う法律上の根拠としては,不当利得返還請求,不法行為に基づく損害賠償請求,(財産管理の委託をしていた場合は)委任契約に基づく受取物返還請求等があげられます。

 これらの請求をするために,預金を無断で引き出した者を被告として,地方裁判所に対して民事訴訟を提起することになります。

 使い込まれた預金の返還請求を行うために,家庭裁判所の調停を利用することもありえますが,解決までのスピードや実効性を考えると,地方裁判所に対して提起した方がより効果的です。

 なお,解決までに要する時間ですが,預金を無断で引き出した者の反論の内容にもよりますが,概ね8カ月から12ヵ月程度が多いように思われます。

親族に認知症等の症状がなく意思疎通が可能な場合

 通常の相続における預金の使い込み案件の場合は相続人を原告として,預金を無断で引き出し使い込みを行った者に対して返還請求を行います。

 これに対し,存命中の親族の預貯金が無断で引き出され・使い込まれた場合は,使い込みがなされた親族が原告となって使い込みを行った者に対して返還請求を行うことになります。

親族に認知症等の症状がある場合

 親族が存命中ではあるものの認知症等の症状がある場合もあります。

 この場合,認知症と言っても症状の軽重がありますので,認知症の症状があるからといって直ちに訴訟提起ができないわけではありません。

 もっとも,認知症が重い場合は訴訟の遂行が難しくなるため,後見開始の申立てを行うことになります。

 そして,選任された後見人の判断で預貯金を無断で引き出した者に対する返還請求を行うか否かが決まることになります。

預金を無断で引き出したことが疑われる側からなされるよくある反論

 預貯金を無断で引出・使い込んだことを理由とする返還請求を行った場合であっても,これに対する反論がなされることがよくあります。

 具体的には,「預金はもらったものである」,「預かっているだけであるから返すつもりである」,「引出金は許可を得て借りたものである」等の反論がされることがあります。

 これらの反論がなされた場合は,それらの法律上の位置づけを理解した上で,再反論を行い返還請求を行うことになります。

終わりに

 以上,親族生前中・存命中に無断で預金が引き出され・使い込まれた場合における対処方法について解説を行いました。

 親族生前中・存命中に預貯金が無断で引き出され・使い込まれた場合における返還請求は,相続した預金が使い込まれた場合における返還請求と基本的には似た法律構成にはなります。

 東京都中野区所在の吉口総合法律事務所では,預金の使い込みを始めとする相続問題を多数扱っております。

 預金の使い込みを含む相続問題にお困りの方は,下記お問い合わせフォーム等から中野区で無料相談対応の吉口総合法律事務所までお問い合わせください。

【お知らせ】特定技能に関するコラムを追加しました

2020-03-07

昨今,ニュースで取り上げられている特定技能の在留資格に関し,よくある質問をまとめました。

こちらのページからご確認ください。

立退料を支払わないで明渡しができるのはどのような場合か

2020-02-19

 中野区で不動産無料相談対応の吉口総合法律事務所では,建物のオーナー様(賃貸人側)側からいただくご相談の中で,「建物の立退きを行いたいが立退料を支払いたくない。立退料は必ず支払わなければいけないか。」という不動産に関するご質問をいただきます。

 立退きを求める場合は基本的には立退料を支払わなければならないことが多いです。

 しかし,同じ建物の明渡を求める場合であっても,立退料を支払わなければならないケースと支払わなくてよいケースもあります。

 また,そのままでは立退料を支払う必要性が高い場合であっても,事前の対策によって立退料を支払わずに立退きが可能になる場合もあります。

 中野区で不動産無料相談対応の吉口総合法律事務所の本コラムでは,立退きを求めるにあたって立退料を支払わなければいけないケースを解説した上で,立退料を支払いたくないオーナー様側が立退料を支払わずに明渡を求めるための方法について解説をしていきます。

▼立退料の計算方法等についてはこちらのコラムの下部をご参照ください。

立退料を支払わないといけない場合はどのような場合か

 まず,前提として,立退きを求めるにあたり立退料を支払わなければいけないケースとしてはどのような場合があるでしょうか。

 立退料を支払わなければいけない主たるケースとしては,

 ①賃貸借契約の契約期間満了後の更新拒絶

 ②賃貸借契約の中途解約及び期間の定めのない賃貸借契約の解約

 があげられます。

 上記の場合において,例えば,建物利用の必要性等が賃貸人と賃借人の双方ともに認められる場合には,立退料が問題になってきます。

 逆を言えば,①及び②の場合であっても,例えば,賃借人側が建物を全く利用していない場合等,賃借人側に建物利用の必要性が全くない場合等には,立退料を支払うことなく立退きが認められる場合もあります。

 他方で,①,②とは別に,

 ③賃料滞納による解除

 ④用法遵守義務違反に基づく解除

 等の債務不履行解除の場合は,賃貸借契約を解除することによって明渡を求めることが可能であるため,立退料の支払の必要はありません。

 ご相談者の中には,賃料滞納が生じている場合等にも立退料の支払をしなければいけないと誤解している方もいらっしゃいますので,この点に注意が必要です。

 したがって,基本的に,①賃貸借契約の契約期間満了後の更新拒絶②中途解約または期間の定めのない賃貸借契約の解約の場合に立退料の支払が必要になることをまずおさえましょう。

定期建物賃貸借に切り替えることができれば更新拒絶の際に立退料を支払う必要はない

 賃借人との賃貸借契約が定期建物賃貸借契約であれば,賃貸借契約の更新拒絶をしたとしても立退料の支払の必要はありません。

 定期建物賃貸借契約とは,賃貸借契約のうち契約の更新が無い条項を定めることができる契約になります。

 現在締結している契約が普通賃貸借契約であっても,普通賃貸借契約を合意解約した上で定期建物賃貸借契約を新たに締結すれば,定期建物賃貸借契約に切り替えることができます。

 もっとも,定期建物賃貸借契約は,更新が無い点で借家人の利益を害することになるため,同契約が成立するためには,通常の賃貸借契約よりも厳しい要件が課せられています。

定期建物賃貸借の要件

 定期建物賃貸借契約が成立するためには,

 ①賃貸借期間の定め

 ②更新否定条項の存在

 ③書面による契約

 ④事前説明及び説明書面の交付

 が必要になります。

 これらの要件を充たさない賃貸借契約の場合は,定期建物賃貸借契約であることが否定され,通常の建物賃貸借になります。

 したがって,同契約を締結するにあたっては要件を意識することが必要になります。

 しばしば定期建物賃貸借契約という題名になっているものの定期建物賃貸借契約の要件を充たしていない契約書もありますので,締結しようとしている契約が定期建物賃貸借契約の要件を充たしているかご注意ください。

定期建物賃貸借契約の注意点

 定期建物賃貸借契約の注意点の一つとしては,繰り返しになりますが,定期建物賃貸借契約の締結にあたり,要件を充たしているかどうかを確認することが必要ということです。

 例えば,要件②の更新否定条項について,契約条項の定め方はどのようにしなければいけないか,④の事前説明について,事前説明の程度はどの程度か,また,交付すべき説明書面と契約書は別にしなければならない等,各要件がどのような意味を持つかを意識しながら要件検討をする必要があります。

 また,もう一つの注意点としては,普通建物賃貸借契約から定期建物賃貸借契約への切り替えにあたっては,賃借人にとって不利益な内容になることから,賃借人の真の同意を得ることが必要ということです。

 具体的には,賃借人から切り替えの同意を得るにあたっては,強制を伴わないことは当然として,賃借人に対して更新が無い点で不利益になること等を承知させることが必要になります。

賃料増額請求を行って賃借人が賃借し続けるメリットを無くす

 定期建物賃貸借契約への切り替えよりも間接的な方法になりますが,賃借人の立退きを促す方法としては,賃借人に対し賃料増額請求をすることが考えられます。

 賃借人が現在の不動産を使い続けたい理由が,現在の不動産の賃料が低額であることもありますので,この点に対応することが立退きをする上での一つの事前対策になります。

 賃料増額請求とは,直近合意から事情の変更があった場合において,賃貸人の一方的な意思表示によって賃料の増額を求める請求になります。

 賃料増額請求が認められた場合は,賃借人の承諾がなくとも賃料の増額が可能になるとともに,賃借人は,賃料増額請求後賃借人が支払った相当賃料額との差額及び差額に対する10%の利息を支払う必要があります。

 この方法により立退きの準備を行う事も検討してよいと思います。

終わりに

 以上,立退料を支払わずに明渡ができるのはどのような場合かについて解説を行いました。

 立退きを含む不動産問題は,法律知識が必要になるため,弁護士にご相談されることが不動産投資や不動産管理等をする上で極めて重要だといえます。

 東京都中野区の吉口総合法律事務所では,不動産オーナー様側からの立退き交渉等の不動産問題について重点的に扱っております。

 また,不動産オーナー様側や管理会社向けの顧問契約(月額2万円~)についても常時承っております。

 立退き交渉を含む不動産問題についてお悩みの方は中野区で無料相談対応の吉口総合法律事務所までお気軽にお問い合わせください。

 

共有不動産の売却に協力してくれず売却できない場合はどうしたらよいか

2020-02-13

 中野区で不動産無料相談対応の吉口総合法律事務所では,

「土地及び土地上の建物の共有持分を所有しているが,建物には別の者が住んでいて不動産を利用できない。」

「使っていない共有不動産を所有しているが,固定資産税の請求書が毎年届いており支払ばかりで困っている。」

等の共有不動産の処分等に関するご相談を受けることがあります。

 共有持分は持分のみでは利用方法等に制限があるため,不動産全体を売却をした方が経済的なメリットが得られることがあります。

 しかしながら,他の共有者の任意の協力が得られないことから,現状維持の状態になってしまっていることもよくあるところです。

 中野区で不動産無料相談対応の吉口総合法律事務所作成の本コラムでは,不動産の共有持分を有していることによって何ができるか,また,共有不動産の売却を希望しているが他の共有者から協力が得られない場合はどのようにしたらよいかについて解説を行います。

不動産共有持分だけでできることとできないことは何か

 まず,共有持分を有していることによって,共有持分を有している者(以下「共有持分権者」といいます。)はどのようなことができるのでしょうか。

 この点については,共有持分権者は,共有不動産の保存行為や持分に応じた収益の取得をすることができます。

 例えば,共有している不動産に不法占有者がいる場合は,共有持分権者は他の共有持分権者の同意なく不動産の明渡しをすることができます。

 また,他の共有持分権者が無断で建物に居住している場合は,当該共有持分権者に対し賃料相当損害金の請求をすることができます。

 他方で,他の共有持分権者の同意が無ければ不動産全体の売却や賃貸借契約の締結をすることはできません。

 したがって,共有している不動産を売却したい場合や賃貸をしたい場合においては,他の共有持分権者から同意を得る必要があります。

不動産の共有持分だけを売却することのメリット・デメリット

 それでは,他の共有持分権者からの不動産売却の同意が得られない場合は,共有持分のみを売却することはできないのでしょうか。

 この点,共有持分権者は,自己の共有持分のみであれば,共有持分を売却することは可能です。

 共有持分のみを購入する不動産業者もいるため,場所にもよりますが,全く値段がつかないという事は無いでしょう。

 この共有持分のみの売却によって,共有不動産に関する問題から離脱することが可能というメリットはあります。

 もっとも,共有持分を取得したとしても,新たに共有持分を取得した者は,従前と同様に自由に不動産を利用することができません。

 新たな共有持分権者は,やはり他の共有持分権者の同意が無ければ売却をすることもできません。

 このような事情から,共有持分権者が不動産業者に対し共有持分を売却しようとしても,安く買いたたかれてしまいます。

 したがって,共有持分だけの売却をすることにより,時価よりも相当安い金額で売却せざるを得なくなるという点が,共有持分のみを売却するデメリットであるといえるでしょう。

共有物分割請求を行うことによって共有不動産の問題解決が可能になる。

 前述のとおり,共有持分のみを売却すると安くなってしまう一方で,不動産全体を売却する場合は他の共有持分権者の同意が必要になります。

 それでは,他の共有持分権者が共有不動産の売却に同意しない場合はどうしようもないのでしょうか。

 そのようなことはなく,共有持分権者は,共有物分割請求を行うことによって問題を解決することが可能です。

 共有物分割請求とは,現在の共有状態を解消するために,共有物を

 ①現物分割

 ②全面的価格賠償

 ③換価分割

 といういずれかの方法で共有関係を解消する手続になります。

現物分割について

 ①の現物分割は,持分に応じて実際に不動産を現物で分ける方法になります。

 例えば,1つの土地を分筆して持分に応じて二つの不動産に変える手続です。

 これによって,共有不動産が二つの単独所有不動産に変わることになり,共有関係が解消することになります。

 もっとも,土地上に建物があるような場合は,建物を分けることはできませんので現物分割は難しくなりますし,分割するためには土地もある程度の広さが必要になります。

 また,土地を分けるとしても,分け方によって不動産の評価額は大きく変わることもあるため,実際には現物分割が難しいこともあります。

全面的価額賠償について

 全面的価額賠償とは,共有持分権者が他の共有持分権者の持分を強制的に買い取るという手続になります。

 例えば,3000万円の土地について共有持分権者がそれぞれ2分の1の持分を有する場合において,1500万円を他の共有持分権者に支払うことによって他方の共有持分を買い取ることになります。

 他方の共有持分権者からの持分を取得することによって,共有関係が解消することになります。

 この分割方法が認められるためには,資力があることと持分を取得することが相当であることが必要になります。

 この全面的価額賠償でしばしば紛争になる点としては,代償金を支払う前提としての不動産の評価額をいくらにするかという点です。

 例えば,不動産に抵当権が設定されている等の時は不動産の評価額がいくらであるか問題になります。

 他にも問題が生じる事例が多数ありますが,この点についてはご相談ください。

換価分割について

 換価分割とは,不動産を競売した上で売却代金を持分に応じて分配するという手続になります。

 単独不動産として売却した上で代金をわけることになるため,共有状態は解消されることになります。

 競売をすることによって持分単独で売却するよりは高く売却ができますが,競売に対する入札額によっては代金が安くなってしまう可能性もあります。

 したがって,競売を行うことによるメリットデメリットを考慮しつつ,例えば,途中で他の共有持分権者と和解を行って任意で第三者に売却することもあります。

終わりに

 以上,共有不動産の売却に協力をしてくれない場合に取るべき方法について解説を行いました。

 共有状態のままの不動産は,固定資産税が毎年発生する一方で,不動産を利用・売却することもできないことから,負の財産になってしまいます。

 このような状態を解消するためにも共有物分割請求を行うことを検討しても良いと思います。

 東京都中野区所在の吉口総合法律事務所では,共有物分割請求を含む不動産問題を重点分野として扱っており,解決事例等も豊富にございます。

 共有物分割請求を含む不動産問題にお悩みの方は,中野区で不動産無料相談対応の吉口総合法律事務所までお問い合わせください。

【お知らせ】弁護士吉口が取材協力をした映画『記憶屋 あなたを忘れない』が公開されました。

2020-02-09

 弁護士吉口直希が取材協力をした『記憶屋 あなたを忘れない』(主演:山田涼介さん,芳根京子さん)が1月17日(金)より全国の映画館で公開されています。

 詳細につきましては,映画の公式サイトをご覧ください。

 

 

外国人労働者を雇い入れる方法と注意点

2020-02-06

 先日のコラムでは,入管法の改正により,新たな在留資格である「特定技能」が制定され,外国人労働者の人数が今後増えていくことが見込まれるのではないかということを解説しました。

 それでは,「特定技能」の在留資格が制定されたことを前提として,企業が新たに外国人労働者を雇い入れるためにはどのような方法があるのでしょうか。

 また,外国人労働者を雇い入れるにあたってはどのような点に注意をしなければならないのでしょうか。

 本コラムでは,外国人労働者を新たに雇入れる方法と注意点について解説をしていきます。

外国人労働者を新たに雇入れる方法

 外国人を新たに雇入れる方法としては,在留資格を有する日本在住の外国人を採用する方法外国在住でこれから在留資格を取得する外国人を採用する方法があります。

国内にいる外国人労働者に募集をかけて雇い入れをする方法

 日本国内にいる外国人労働者を雇い入れる場合は,日本人労働者と同様に外国人労働者と雇用契約を締結することになります。

 もっとも,雇い入れるに当たっては,まずは当該外国人の在留資格の有無及び内容を確認する必要があります。

 在留資格が無い,または,当該在留資格によって就労ができないにも拘わらず就労をさせた場合は,就労した外国人が不法就労(入管法73条,70条第1項第4号)となるのは当然として,不法就労をさせた企業についても,不法就労助長罪(入管法73条の2第1項)が成立することになります。

 しかも,不法就労助長罪は,会社側が当該外国人の活動が資格外であることや資格外活動許可を得ていなかったことを知らなかった場合であっても処罰を免れることができません(同法73条の2第2項)

 会社側が外国人を働かせてしまったことについて無過失であった場合は,処罰を免れることができますが,その範囲はかなり狭いといえます。

 したがって,外国人の在留資格では労働できない場合は雇い入れをすることはできませんので,少なくとも在留カードやパスポートまたは資格外活動許可書の確認が必要になってきます。

 応募した外国人労働者が良い人材であるにもかかわらず,募集した職種では働けない場合は,場合によっては,在留資格の変更を行うことも検討することになります。

国外にいる外国人労働者に募集をかけて雇い入れをする方法

 知人に外国人がいる場合や特定の資格や技術を持った外国人労働者を外国から招聘をしたい場合,在留資格を取得した上で雇用契約の締結を行います。

 このように国外にいる外国人労働者を募集する場合は,受け入れ先等の企業や弁護士が在留資格認定証明書を事前に取得した上で,同証明書を当該外国人の送付し,外国の日本大使館で査証を取得してもらうことになります。

 査証を取得した場合は,当該外国人が査証添付のパスポートを所持した上で上陸許可を受けた上で日本に入国することになります。

 入国後は,当該外国人との間の雇用契約に基づき労働を開始することになります。

外国人労働者を新たに雇い入れるに当たっての注意点

 外国人労働者を新たに雇い入れるに当たっての注意点は以下の通りです。

外国人労働者を雇い入れる前に在留資格を確認する。

 前述の通り,外国人労働者を新たに雇い入れるにあたっては,必ず在留資格を確認しましょう。

 在留資格によって許されていない活動をさせた場合,不法就労助長罪(入管法73条の2第1項1号)に該当し刑事罰が課せられることになります。

 海外から外国人を招聘する場合は,あらかじめ在留資格を取得してから入国しますので問題になりませんが,国内の外国人を雇い入れるに当たっては,在留資格の確認は必須です。

 外国人に対し当該在留資格で許されていない労働をさせないように気を付けることもそうですが,例えば,「留学」の在留資格において,資格外活動許可の範囲を超える週28時間以上のアルバイトをさせないこと等も気を付けないといけません。

外国人労働者を雇い入れるにあたっては労働法規を遵守することを忘れない

 外国人労働者の受け入れが以前よりも容易になるとはいえそれは安く雇えるということではありません。

 外国人であっても,日本の労働基準法等の適用があるため,その点に注意が必要になります。

 日本の労働法規が適用されるため,外国人に残業を行わせた場合は残業手当を支払わなければいけませんし,労働時間の制限も受けることになります。

 また,雇用保険の適用もあるため,日本人と同様に雇用保険に加入することを忘れないようにしましょう。

 日本人では人が集まらない職場について外国人が就労をするという可能性はあるかもしれませんが,あくまで労働法規を遵守しなければならないことは忘れてはいけません。

雇い入れ企業はハローワークに対して届出を行う必要がある

 労働施策総合推進法28条に基づき,外国人労働者を採用した場合は,企業側は外国人労働者の氏名や在留資格等について届出を行う必要があります。

 外国人労働者を採用した場合はこの点も忘れないようにしましょう。

終わりに

 以上外国人労働者を新たに雇い入れる方法と注意点について解説を行いました。

 日本の人口が減少し,労働力の需要が増していく中で新たに外国人労働者を採用する必要性というのは今後ますます増えていくと思われます。

 東京都中野区所在の吉口総合法律事務所では,特定技能や外国人労働者の採用に関するご相談を受け付けております。

 特定技能や外国人労働者の採用に関してご質問がある方は,お電話またはお問い合わせフォーㇺでお気軽にお問い会併せください。

賃貸借契約を更新しないと言われた店舗はどのように対応したらよいか

2020-01-21

 中野区で不動産無料相談対応の吉口総合法律事務所では,

「貸店舗において飲食店を営業していたところ,突然大家(オーナー)から期間満了を理由とする退去を求められたが退去しないといけないのか」

「ビルの一室において小売店舗を経営しているところ,管理業者を通じて,賃貸借契約を更新しないと言われて困っている。」

このような建物(店舗)退去に関するご相談をよくいただきます。

 中野区で無料相談対応の吉口総合法律事務所作成の本コラムでは,店舗側(賃借人)が建物オーナーから賃貸借契約を更新しないと言われた等,退去を求められた場合に店舗側(賃借人)がとるべき対応について解説をしていきます。

建物(店舗)から退去を求められた場合,まずはオーナー側の建物退去を求める理由を確認する。

 建物(店舗)から退去を求められている事案においては,オーナー側が何らかの理由を主張して店舗側(賃借人側)に建物(店舗)からの退去を求めてきます。

 オーナー側が店舗側に退去を求める理由としては,①賃料滞納②期間満了・更新拒絶等が考えられます。

 ①はこちら側が賃料を支払っていないことを理由に契約を解除して退去を求めるパターンです。

 ②は賃貸借契約の契約期間が次回で満了するが契約の更新をしないことを理由に退去を求めるパターンです。

 オーナー側が建物(店舗)からの退去を求める理由によって対応方法が変わってくるので,まずは建物(店舗)から退去を求める理由を確認しましょう。

 なお,①の賃料滞納については,建物(店舗)の明渡・退去の請求は比較的認められやすいですが,②の期間満了・更新拒絶を理由とする退去請求については,オーナー側の退去請求は簡単には認められないため,店舗側(賃借人側)は退去の請求に対して比較的有利に交渉を進めることができます。

賃貸借契約の期間満了・更新拒絶を理由とする退去・立ち退きを求められた場合の店舗側の対処法

 賃貸借契約の期間満了にもかかわらず,契約更新を拒絶したことを理由とする建物(店舗)からの退去請求は簡単には認められません。

 それでは,どのような場合に建物(店舗)からの退去請求が認められるかというと,①契約終了1年前から6ヵ月前までの間における更新拒絶の通知②更新後における遅滞なき異議③立ち退きを認める正当事由が必要になってきます。

更新拒絶の通知を放置したり退去・立退きの交渉がまとまらない場合はどのように手続が進むか

 前提として,仮に期間満了・更新拒絶を理由とする退去・立退きの請求を放置した場合,または,放置はしなかったもののオーナー側と交渉がまとまらない場合はその後の手続はどのように進むのでしょうか。

 想定されるケースとしては,①オーナー側から建物明渡訴訟が提起される②そのままの状態が続くということが考えられます。

 ①の場合ですが,オーナー側がどうしても建物(店舗)から退去して欲しいと考えた場合は,店舗側を被告として建物明渡請求訴訟を提起することが予想できます。

 そして,同訴訟において,オーナー側が後述の正当事由等を主張した上で裁判所に対し退去の請求を求めることになります。

 次に,②の場合ですが,この場合は相応の立退料の支払うことが予想されるケースにおいて,オーナー側が,立退料を支払うくらいであればあえて退去を求めないという考えに基づきあきらめるパターンです。

 但し,現在の店舗の賃料が相場より安い場合は,オーナー側が将来的に賃料増額請求等を行ってくるかもしれませんので,店舗側としては注意が必要です。

賃貸借契約の更新拒絶の通知及び更新後における遅滞なき異議の具体的内容

 前述のとおり,期間満了・更新拒絶を理由とする退去の請求が認められるためには,①契約終了1年前から6ヵ月前までの間における更新拒絶の通知②更新後における遅滞なき異議が必要になります。

 上記①及び②を怠った場合には,期間満了・更新拒絶を理由とする建物(店舗)からの退去請求は認められないのですが,通常,これらの手続はとられていることが多いです。

 すなわち,通常,契約期間満了前の1年前から6ヵ月前までの期間において,オーナー側から配達証明付の内容証明郵便により更新拒絶の通知が届き,期間満了後に建物利用を続けている場合には,オーナー側から同郵便を利用して異議が述べられることが多いです。

 そして,オーナー側からは,賃貸借契約が期間満了により終了していること及び賃貸借契約書記載の違約金条項があることを理由に月額の賃料の倍額の違約金が発生する旨連絡を受けることも多いです。

期間満了・更新拒絶を理由とする建物(店舗)からの退去・立ち退きを求めるには正当事由が必要

 しかしながら,これらの請求に素直に従わなければいけないということはありません。

 なぜならば,期間満了・更新拒絶を理由とする建物(店舗)からの退去・立退きの請求が認められるためには正当事由が必要だからです。

 それでは,どのような場合に正当事由が認められるのでしょうか。

 それは,平たく言えば,オーナー側(賃貸人側)と店舗側(賃借人)の双方の建物利用の必要性を比較考慮して,オーナー側の必要性が大きいが,賃借人側には必要性が小さい,または,同程度であるが立退料で補完できる場合に正当事由が認められるといえます。

 この建物利用の必要性については,各事由による必要性の強弱があるため,建物(店舗)からの退去を求められている店舗側は,オーナー側の建物利用の必要性がどの程度強いか,また,店舗側の建物利用の必要性がどの程度強いかを整理した上で交渉を進める必要があります。

 例えば,オーナー側が,不動産を高く売却するために建物(店舗)からの退去・立ち退きを求めている場合は,建物利用の必要性が全くないわけではありませんが,老朽化に伴う建替え等よりは建物利用の必要性は小さくなります。

 また,退去を求められる店舗側が営んでいる事業が飲食店であれば場所的利益が大きいのに対し,事務所等であれば相対的には場所的利益が小さくなります。

 このように,オーナー側の建物利用の必要性の有無及び大小並びに賃借人側の建物利用の必要性の有無及び大小から正当事由の有無が変わってきます。

 そして,退去の請求を退けることを希望する場合は当然として,退去を前提に高額な立退料を取得することを望む場合であっても,立退料が建物利用の必要性を補完する性質であることからすれば,高額の立退料を取得するためには建物利用の必要性を整理した上で交渉を行うことが重要になってきます。

期間満了・更新拒絶を理由とする建物退去・立ち退きを求められた場合の立退料の相場と算出方法

 先に述べた通り,オーナー側及び店舗側の建物利用の必要性を比較考慮した上で,双方に同程度の必要性が存在する場合において立退料の問題が生じます。

 それでは,立退料の算定及び相場はどのように決まるのでしょうか。

 しかしながら,これに対する回答は明確には存在しないと言わざるを得ません。

 立退料の算定方式には,①借家権価格②移転に伴う実費・損失価格③併用方式等が存在しますが,どの方式をとるべきかということは確定していません。

 これらの各方式ですが,平たく言えば,①の借家権価格は,更地価格に対して借地権割合や借家権割合を乗じて算出する価格であり,②の移転に伴う実費・損失価格は,内装や造作に対して発生する費用や休業補償が含まれます。

 これらの算出方式を基に立退料の計算がなされますが,これらの立退料の交渉も,建物利用の必要性が基礎になるため,まずは先に述べた建物利用の必要性の整理と主張・立証が必要になります。

終わりに

 以上,建物(店舗)から賃貸借契約を更新しない等の理由により退去を求められた店舗はどのように対応したらよいかについて,期間満了・更新拒絶を理由とする退去にを中心に解説を行いました。

 期間満了・更新拒絶を理由とする建物(店舗)から退去を求められた場合は,現在の場所で営業を続けたい場合または退去を前提とした立退料の交渉をすることが考えられますが,いずれの場合であっても,正当事由の検討を踏まえた交渉が必要になります。

 したがって,期間満了・更新拒絶を理由とする立退き・退去を求められた場合は,立退き・退去案件を重点的に扱う弁護士に依頼をすることが大事です。

 東京都中野区所在の吉口総合法律事務所は,期間満了・更新拒絶を理由とする退去・立退き案件を重点的に扱っており,5000万円を超える立退料を取得した実績もございます。

 期間満了・更新拒絶を理由とする退去・立退き案件についてご不明な点がございましたら,当ホームページのお問い合わせフォームよりお問い合わせください。

借地権付建物を売却するためにはどのようなことを注意すべきか

2019-11-20

 中野区で弁護士への不動産無料相談対応の吉口総合法律事務所では,

「借地権付建物を相続したが地代が発生するため売却をしたい」

「現在借地を有しているが子供に贈与したい」

等のご相談をいただいております。

 それでは,借地権付建物の所有者がこのように考えた場合,借地権付建物の売却を行うにあたってどのような点に気を付けなければならないでしょうか。

 中野区で不動産無料相談対応の吉口総合法律事務所本ページでは,借地権付建物を売却するためにはどのような手続が必要か,そして,借地権付建物を売却するためにはどのような点に気を付けなければならないかについて解説を行います。

借地権付建物の売買方法の種類と注意点

 借地権付建物を売却するにあたっては,

①借地権付建物を第三者に売却する方法

②地主と協力して土地及び建物を第三者に売却する方法

③地主に借地権付建物を買い取ってもらう方法

 があります。

借地権付建物を第三者に売却する方法

 借地権付建物を第三者に売却するにあたっては地主の承諾が必要になります。

 仮に地主から承諾を得ずに売却をしてしまうと,建物に従って借地権も売却されたことになり,借地権の無断譲渡として地主から借地契約を解除されてしまいます。

 借地権付建物の売却にあたってはこの点について必ず注意しなければなりません。

 地主との交渉の結果,借地権付建物の売却の承諾を得られた場合は地主に対して譲渡承諾料を支払うことが一般的です。

 この譲渡承諾料については目安としては借地権価格の1割とされていますが,地主からは,相場よりも高い金額を支払わなければ借地権譲渡に承諾しない旨伝えられることもあります。

 その場合は地主との交渉が必要になってきます。

地主と協力して土地及び建物を第三者に売却する方法

 地主の承諾のもと借地権付建物を第三者に売却する方法とは別の方法として,地主と協力して不動産を売却する方法があります。

 この方法をとることができれば,買主は,購入後,借地権の負担のない土地(更地)として利用することができるため,不動産を高く売れる可能性があります。

 もっとも,この方法をとるためには地主との協力が必要になりますので,やはり地主が共同して不動産を売却することに承諾しなければこの方法をとることはできません。

 また,仮に地主に不動産を売却する意向があったとしても,売却価額の配分について地主側から承諾を得る必要があることについても注意が必要です。

地主に借地権付建物を買い取ってもらう方法

 借地権付建物を売却する方法の一つには,地主側に借地権付建物を買い取ってもらうという方法もあります。

 もっとも,借地権付建物の共同売買の方法と同じく,地主側に借地権購入の意図が無い場合は強制的に買い取ってもらうことはできません。

 したがって,地主が借地権の買取に承諾しない場合はこの方法をとることはできません。

地主が借地権付譲渡に承諾しない場合は借地非訟手続(土地賃借権譲渡許可申立)を利用する

 借地権付建物の売却について地主が承諾しないことはよくありますが,このような場合は借地非訟手続(土地賃借権譲渡許可申立)を利用することによって問題が解決することもあります。

 この借地非訟手続(土地賃借権譲渡許可申立)とは,裁判所が地主に代わり借地権譲渡承諾の許可を出してくれる手続です。

借地非訟手続(土地賃借権譲渡許可申立)の流れ

 この借地非訟手続(土地賃借権譲渡許可申立)は,借地権付建物が存在する場所を管轄する裁判所に対し申立てを行います。

 申立後,裁判所は,借地権が存在することを前提に,借地権の譲渡が地主にとって不利でないこと等を審理することになります。

 審理の結果,借地権の譲渡が地主にとって不利になる等の事情がある場合は請求棄却,そうではない場合は譲渡許可決定がなされることになります。

 もっとも,借地権譲渡許可の決定がなされる場合であっても,譲渡承諾料として借地権価格の1割程度の反対給付が命じられることもよくあります。

 また,裁判所による許可決定ではなく和解で終了することもあり,この場合は早期に紛争が解決することもあります。

借地非訟(土地賃借権譲渡許可申立)の利用の注意点

 ここまで説明したところによれば,借地非訟手続を利用した上で借地権譲渡が地主に不利になる事情等がなければ,地主の承諾がなくとも借地権付建物の売却は容易のようにも思われます。

 もっとも,借地非訟手続を利用するにあたっては以下の点に注意が必要です。

 借地権の残存期間が必要

 まず,土地賃借権譲渡許可決定がなされるためには,借地権の残存期間がある程度(目安としては2,3年程度)残っている必要があります。

 これは地主側の期間満了による契約終了に基づく明渡しを求める機会を保障するためです。

 このような制限があるため,借地非訟申立てをする場合は,法定更新後等に申立てを行う等,申立ての時期を事前に検討する必要があります。

 地主が借地権を買い戻す可能性がある

 次に,借地非訟手続においては,地主に介入権という権利が認められています。

 この介入権とは,地主側が借地権者から強制的に借地権を買い取るという制度です。

 地主によって買い取られる借地権の価格は時価になるため借地権者側としては不利にはならないことが多いです。

 もっとも,親族等特定の者への譲渡を希望していたにもかかわらず介入権行使によってこれができないという事もあり得るので,申立てにあたってはこの点にも注意が必要です。

 地主から抵当権設定の承諾書までは取得できない

 また,借地非訟手続では地主から抵当権設定の承諾書までは得られないことにも注意が必要です。

 借地権付建物を売却するにあたっては,買主は銀行から融資を受けることが通常ですが,融資を受けるにあたっては銀行から抵当権設定の承諾書を求められることがあります。

 この抵当権設定承諾書とは,地主が借地権に抵当権を設定することについて承諾をしたことを証する書面になります。

 本来であればこのような書類は法的にはあまり意味がないのですが,金融機関が要求する以上は無視をすることができません。

 しかしながら,裁判所による譲渡許可では地主に対してこのような書面を交付することまでは要求できませんので注意が必要です。

 借地非訟手続を利用するにあたっては利用前にこの点を踏まえて工夫をしておく必要があります。

終わりに

 以上,借地権付建物を売却するためにはどのようなことを注意すべきかについて解説を行いました。

 借地権付建物の売却を含めた不動産売買に関する紛争が生じた場合であっても弁護士等の専門家を介在させることによって問題が解決することがあります。

 東京都中野区所在の吉口総合法律事務所では,借地権付建物の不動産売買を含む不動産問題に関して重点的に取り扱いを行っております。

 借地権付建物の売却を含む不動産問題に関するご相談は中野区で不動産無料相談対応の吉口総合法律事務所までご相談ください。

« Older Entries Newer Entries »

トップへ戻る

電話番号リンク 問い合わせバナー