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【お知らせ】村上詩織弁護士入所のお知らせ

2021-07-12

 令和3年7月1日より,吉口総合法律事務所に村上詩織弁護士が入所いたしました。

 村上詩織弁護士は,刑事事件を取り扱う法律事務所での勤務経験があり,無罪判決獲得経験もある実績ある弁護士になります。

 村上弁護士の加入により,複数体制による案件の処理が可能となると共に,刑事事件等,これまでよりも充実した対応が可能となりました。

 今後とも,村上詩織弁護士とともに,吉口総合法律事務所を宜しくお願い致します。

【弁護士が解説】認知症で作成された遺言を無効にするには?遺言能力がないと判断される基準と手続

2021-01-17

 昨今、遺言書作成の必要性が広く認識されるようになり、それによって遺言書の作成件数も増加しているようです。

 他方で、被相続人が遺言書を作成できない状態であるにもかかわらず、実質的に遺言者ではなく他の相続人が主導して遺言書を書かせてしまうような事態も見受けられます。

 例えば、親が認知症であるにもかかわらず、子供の一人が認知症の親に働きかけてその子供に有利な内容の遺言書を作成させるようなケースです。

 それでは、被相続人の認知状態が認知症等により低下していたにもかかわらず遺言書が作成された場合、残された他の相続人は遺言書の無効を主張することができるのでしょうか。

 本コラムでは、認知症の親や兄弟が作成した遺言書を無効にしたいときはどうしたらよいかについて解説を行います。本コラムを読めば、遺言無効を主張するために必要な要素と、具体的な手続きの流れが分かります。

どのような場合に遺言書は無効になるのか

遺言能力を欠く場合には遺言書は無効になる

 遺言書の種類によって遺言書の無効事由は異なりますが、一番多く争われる無効事由は遺言者が遺言書を作成した際に遺言能力が欠けているという点だと思います。

 遺言能力については、民法で以下のように規定されています。

民法963条 遺言者は、遺言をする時においてその能力を有しなければならない。

 (出典:e-Gov法令検索 民法

 上記規定では、遺言書作成にあたって遺言者が遺言能力を備えていることが必要になることを定めております。

 それでは、どのような場合に遺言能力が無いと判断されるのでしょうか。

 この点について誤解を恐れずに言えば、遺言能力が否定される典型例としては、複雑な内容の遺言書が残されているところ、(認知症等により)認知能力が極めて低下しており当該遺言の内容を把握できない場合には遺言能力は否定されるといえます。

どのような事情があれば遺言能力が存在しないことを理由に遺言書は無効になりやすいか

 遺言無効を争う前提として、どのような事情があれば遺言書は無効になりやすいのでしょうか。

 この点については、まずは遺言者の遺言書作成時の認知状態が著しく低下しているという事情があれば遺言能力を否定する重要な要素になると言えます。

 加えて、認知状態だけでなく、遺言書の種類や遺言書の複雑性、従前の遺言者の意向と遺言書の整合性や遺言内容の不合理性等も遺言書が無効になる事情になります。

 具体的には、一般的に自筆証書遺言の場合は、専門家である公証人が関与していないため相対的に無効になりやすいといえます。

 また、複雑な内容の遺言書であればそれだけ遺言者が内容を理解することが困難になるため無効になりやすくなりますし、従前の遺言者の意向と不整合でありその内容も不合理であれば、遺言者の判断能力が低下していたといいやすくなります。

 これらの事情を複合的に検討した結果、遺言能力が欠けているとして、遺言無効になりえます。

認知症の診断や症状がある際に作成された遺言書は直ちに無効か

 前述のとおり、遺言書の効力を判断するに当たっては遺言者の認知状態が重要な要素になります。

 それでは遺言者に認知症の診断や症状があれば遺言書は直ちに無効になるのでしょうか。

 この答えは、先ほど典型例としてあげた遺言能力が否定される事例を確認すればわかるとおり、認知症があっても遺言書は直ちに無効になるわけではないというものになります。

 認知症であったといっても、認知症の症状の重さによって遺言書の作成に影響を受ける範囲や程度も異なります。

 また、認知症の種類にもアルツハイマー型認知症や脳血管型認知症、レビー小体型認知症・・・等あり、それぞれの認知症の種類によって症状や進行具合も変わってきます。

 したがって、認知症があるからと言って直ちに遺言書が無効になるとはいえません。

 もっとも、症状や重さによっては無効になるので、遺言書作成前に症状等を確認する必要が生じます。

 認知症であったからといって直ちに無効にならないことについては、「認知症の親や兄弟に遺言書を作成してもらうにはどうしたらよいか」というページに解説を記載しておりますので適宜ご参照ください。

遺言能力を否定する重要な証拠:中核症状と長谷川式認知症スケールの点数

 それではどのような認知症の症状があれば遺言書は無効になりやすいでしょうか。

 認知症には、中核症状と呼ばれる認知症の結果脳に影響が生じることによって発生する症状があります。具体的には記憶障害や見当識障害(時間や場所等がわからなくなる)理解判断力の障害です。

 これらの症状が生じており、その程度も重度である場合は遺言書は無効になりやすいといえます。

 他方で、認知症には周辺症状と呼ばれる中核症状に基づき実際に生活で発生している二次的な症状があります。具体的には、徘徊やせん妄、失禁等があげられます。

 周辺症状をもって遺言能力を有していない旨の主張がなされることも多いですが、より重要なのは周辺症状ではなく中核症状であるのでそれを意識する必要があります。

 中核症状の有無や程度については、カルテやMRI等の脳画像、看護記録、介護認定資料(認定調査票や主治医意見書)や介護施設の記録等から確認または立証していくことになります。

 なお、認知症の判断をするにあたっては、長谷川式認知症スケール(HDS-R)と呼ばれる認知症の判断テストがあります。

 この結果は必ずしも認知症の重さとは連動していないとされていますが、裁判においてはその点数が重要視される傾向もありますので、その点数を確認する必要があります。

 20点以下の場合は認知症と判断されますが、一般論として言えば、1ケタ台~10点台前半である場合は無効になりやすくなるといえます。

自筆証書遺言が無効であると判断した裁判例

 東京地方裁判所令和5年12月22日判決では、認知症の被相続人が作成した2通の自筆証書遺言について、要旨、次の事情から遺言能力がない(無能力)ことを理由に無効と判断しました。

  1. 診断と客観的数値の重み:

    • 被相続人が遺言書作成の3年前に脳梗塞を発症し、要介護1及びその後2の認定を受けており遺言書作成の1年ほど前に自宅のストーブに紙を置いて火をつける等の問題行動を見せるようになった。
    • 遺言作成の約5ヶ月前に「日常の意思決定を行うための認知能力」について「判断できない」「自分の意思の伝達能力」については「いくらか困難」という医師の診断があったこと。

    • 遺言書作成直後に成年後見のための診断書の作成のために実施された長谷川式認知症スケールが「8点」と、認知症の病態識別値を大幅に下回る極めて低い結果であった。その後、被相続人に後見の審判がなされた。

  2. 遺言内容の複雑性:

    • 遺言能力の有無は、「遺言の内容がどの程度複雑か」によって判断される。
      本件では、「原告に財産の半分を相続させる」という内容は複雑な内容ではないものの、被相続人には多数の財産や債務があったのであるから、その半分を相続させるという遺言の内容を理解するためには、相応の認知・判断能力が必要となる

    • しかし、遺言書の作成当時の認知能力からすれば、弁識するための能力があったとは認められない。

  3. 「知っている」と「理解している」の区別:

    • 被相続人は遺言書作成直前に過去に作成した遺言書の存在について金融機関から照会を受け、それについて回答をしていた。
    • しかし、遺言書の存在自体を覚えていたとしても、それは遺言書の複雑な内容を真に理解し、その結果を望んでいたこととは直結しない

 この判決(【出典:東京地方裁判所令和5年12月22日判決】)は、認知症の診断や症状がある場合の遺言は、その内容の複雑性に応じて無効とされ得ることを示しており、遺言書作成時の医学的・客観的な記録が、後日の紛争解決において極めて重要であることを再認識させるものです。

遺言無効を主張するための具体的手続:調停をすべきか遺言無効確認訴訟をすべきか

 それでは、遺言書の内容やカルテ等の資料を確認した結果、遺言書の無効を主張できそうな場合には具体的にどのように手続を進めるべきでしょうか。

 この場合は、遺言無効確認調停及び遺言無効確認訴訟を提起して遺言書の無効を主張していくことになります。

 認知症等を理由に遺言書の無効が裁判所に認められた場合は、別の遺言書が無い限り法定相続分にしたがって遺産分割を行うことになります。

 なお、遺言無効確認事件については、訴訟の前に調停を経る必要があるという調停前置と呼ばれる制度がとられておりますが、必ずしも調停を経なければ裁判ができないというわけではないため、事案に応じて訴訟提起をすぐに行うこともあります。

終わりに

 以上、認知症の親や兄弟が作成した遺言書を無効にしたいときはどうしたらよいかについて解説を行いました。

 遺言書作成時に認知症があったことを理由に遺言書の効力を争う場合は、まずは認知症に関する医学的な部分を理解する必要があります。

 そして、その点の理解とともに、裁判所にわかりやすく、かつ、裁判所が重視するポイントを踏まえて遺言書の無効を争う必要があります。

 したがって、遺言書の無効を争うにあたっては、これらの点を理解した相続問題に強い弁護士に依頼をする必要性が大きいといえます。

 東京都中野区所在の吉口総合法律事務所では、遺言無効確認事件をはじめとする相続事件を注力分野として扱っており、実際にも多数のご相談及びご依頼をいただいております。

 遺言無効確認事件をはじめとする相続事件をご依頼の方は、東京都中野区所在の吉口総合法律事務所までお気軽にお問い合わせください。

【お知らせ】年末年始の営業日について

2020-12-18

 弊所では,令和2年12月28日(月)から令和1月4日(水)までの間は年末年始のためお休みをいただいております。

 メールでのお問い合わせにつきましては,内容を確認させていただきますが,返信が遅くなってしまうこともございますので,何卒ご容赦頂きますようお願い申し上げます。

【お知らせ】弁護士吉口が週刊エコノミスト(毎日新聞出版)に相続に関する記事を寄稿致しました。

2020-08-17

 弁護士吉口直希が令和2年8月25日号の週刊エコノミスト(毎日新聞出版)「どうする?実家の空き家&老朽マンション」に,空き家の相続に関する記事を寄稿致しました。

 弊所では空き家の相続を含む相続問題に注力しておりますので,空き家の相続を含む相続に関するご相談がおありの方はお気軽にご相談ください。

【お知らせ】夏季休業について

2020-08-07

 弊所では,令和2年8月11日(火)から8月14日(金)までの間は夏期休業のためお休みをいただいております。

 メールでのお問い合わせにつきましては,内容を確認させていただきますが,返信が遅くなってしまうこともございますので,何卒ご容赦頂きますようお願い申し上げます。

【お知らせ】弊所が外国人就労・特定技能に関するページに掲載されました

2020-06-29

 東京都中野区所在の吉口総合法律事務所では,特定技能等の在留資格に関する外国人就労案件を扱っております。

 この度,弊所が「特定技能online」のページにて紹介されました。

 http://tokuteiginou-online.com/yoshiguchi-law-offices/

 特定技能を含む外国人就労問題についてご相談がおありの方は,東京都中野区所在の吉口総合法律事務までお気軽にご相談ください。

【お知らせ】ビデオによる相談について

2020-04-27

 「相談をしたいけれどもコロナウイルスの感染防止のため外出はしたくない・・・・」

 ご相談者様のこのようなニーズを踏まえまして,弊所ではコロナウイルスの感染防止の一環として,ビデオ相談を実施しております。

 ビデオ相談のご利用をご希望の方は,弊所の問い合わせフォームまたはお電話にてお問い合わせください。

 ビデオ相談までの流れは以下のとおりになります。

 なお,ご相談料は,60分11000円(税込)とさせていただきます。

【ビデオ相談の流れ】

 ①お電話またはメールにて相談日時及び利用媒体を調整

 ②弊所問い合わせフォームにてご住所・お名前等のご連絡先をご入力。

 ③弊所より利用媒体等のご案内

 ④ご相談者様から,必要に応じて事務所宛てに資料をFAXまたはメール送付

 ⑤ビデオ面談の実施

 ⑥ご相談後,ご相談時間に応じたご相談料の請求書の発送

 なお,弊所では,海外居住のお客様から相続等のご相談をいただいておりますが,海外からのご相談の場合も上記と同様の流れになります。

 ご利用をお待ちしております。

 

相続財産(遺産)に借地権付建物が含まれる場合に知っておくべき基礎知識と注意点

2020-04-16

 中野区で無料相談対応の吉口総合法律事務所では,遺産相続に関するご相談及びご依頼をいただいておりますが,その中には,借地権付建物に関する遺産分割や遺留分に関するご相談があります。

 借地権付建物が遺産に含まれる場合は,通常の遺産分割とは異なった配慮をしなければならないため注意が必要です。

 本コラムでは,借地権付建物の相続において,知っておいた方が良い基礎知識や借地権付建物の遺産分割の注意点について解説を行います。

▼借地権付建物の売却に関してご不明点がある方は,こちらをご参照ください。

借地権付建物は相続の対象となる遺産になるか

 被相続人が借地権付建物を所有したまま相続が発生した場合,建物のみならず借地権も遺産になります。

 「建物については相続の対象になると思っていたが,借地権が対象になるとは思わなかった」とおっしゃる方もいますが,借地権と建物のそれぞれが相続の対象になります。

 むしろ,後述する通り,建物よりも借地権の方が価値が高いことが多いため,借地権が相続の対象になることは覚えておく必要があります。

 なお,借地権が複数名による共有状態(準共有といいます。)になっている場合もありますが,借地権が準共有の場合も,通常の場合と同様に相続の対象となる遺産になります。

借地権付建物を相続した場合地主に対して譲渡承諾料を支払う必要はあるか

 先に結論を言いますと,借地権付建物を相続したとしても,地主から譲渡の承諾を得る必要はないため,地主に対する譲渡承諾料の支払も当然不要です。

 後述するとおり借地権の譲渡をするためには地主の承諾が必要であり,借地権の譲渡をするときは通常地主に対して譲渡承諾料を支払います。

 しかし,相続の場合は,相続の結果借地権権が被相続人から相続人に移転しますが,それは相続人が被相続人の地位をそのまま相続したにすぎないため,譲渡があったわけではありません。

 したがって,地主の承諾は不要です。

 相続発生後,「地主から譲渡承諾料の請求を受けたがどうしたらよいか」というご相談をいただくこともありますが,譲渡承諾料を支払う必要はないので支払を拒否しても問題ありません。

 但し,遺贈があった場合は地主の承諾が必要になりますので注意が必要です。

 例えば,被相続人が遺言書を作成し,遺言書において「借地権付建物を~に遺贈する」と記載されていた場合は,受遺者は地主の承諾を得る必要があります。

 受遺者が地主に承諾を求めたにもかかわらず,地主が承諾をしない場合は,裁判所の手続を利用して借地権譲渡許可を受けることになります。

 この場合は遺贈後に譲渡承諾を得ることになりますが,東京高裁昭和55年2月13日決定は,遺贈後であっても建物の移転登記又は引渡しを受けていないことを理由に,借地権譲渡許可の申立ては適法としています。

借地権の評価額は時価で算定する

 借地権が相続の対象である遺産の場合,借地権を時価で評価します。

 不動産の評価額は固定資産評価額や路線価等様々な評価方法が存在しますが,遺産分割の際は時価で評価します。

 この時価の算定方法は様々なものがありますが,更地価格を算定した上で更地価格に借地権割合を乗じて算出することが一般的です。

 更地価格の評価は,公示地価や取引事例を比較した上で算出することが多いです。そして,借地権割合は路線価図に記載があるため,路線価図記載の借地権割合を乗じて算出します。

 具体的には,相続の対象となる借地権付建物の路線価図を確認し,金額とA~Gまでの記号を確認し,路線価図右上のA~Gまでの割合を更地価格に乗じます。

 例えば,更地価格が1000万円であり,相続の対象となる路線価図にDと記載がある場合は,借地権割合は60%ですので,借地権の評価額は600万円になります。

 但し,注意が必要なのは,あくまでそれは理屈上の評価額であり,実際にその金額で売却できるとは限らないということです。

 借地権付建物の場合は,売却をするためには地主の承諾が必要になります。そして,融資を受けるときにも地主の協力が必要になりますので,地主の協力が得られない場合は買い手が限られます。

 このような場合は,売却額をディスカウントせざるを得ないケースもでてきますので注意が必要です。

借地権付建物の分割方法

 借地権権付建物をはじめとする遺産の分割方法には,現物分割や代償分割等様々の種類があります。

 もっとも,借地権付建物の分割は,代償分割または換価分割を選択することが多いです。

 借地権付建物の代償分割とは,相続人の一人が借地権付建物を単独取得し,他方の相続人に対して代償金を支払う分割方法であり,換価分割とは,借地権付建物を売却(競売)し,売却代金を相続割合に応じて分割する分割方法です。

 代償分割の場合は地主の承諾は不要ですが,換価分割の場合は地主の承諾が必要になります。

 借地権付建物の場合は,通常の不動産よりも地代や更新料等のランニングコストが発生するため売却することが多いですが,地主が譲渡承諾をしないケースや譲渡承諾料の折り合いがつかないケースもでてきます。

 そのような場合の対処法はこちらのページで解説をしていますのでご確認ください。

 なお,遺産分割協議がまとまらない場合で換価分割となった場合は最終的には競売によって売却されることになります。

 この場合,相続人にはもはや関係ありませんが,競売で競落された場合であっても買受人は地主の承諾を得る必要があります。

借地権付建物の相続の際の注意点

 借地権付建物の相続の際の注意点としては,相続発生後,相続人全員が地代の支払義務を負うという事です。

 相続人は自らの相続割合に応じて遺産及び債務を相続しますが,地代の支払債務は不可分債務と呼ばれ,全員が全額を支払う義務を負います。

 そして,地代の不払いは賃貸借契約の解除事由になりますので,借地権付建物の遺産分割が未了だからといって滞納をしないようにする必要があります。

終わりに

 以上,相続財産に借地権付建物が含まれる場合に知っておくべき基礎知識と注意点について解説を致しました。

 借地権付建物の相続の場合,相続人だけではなく地主との関係も考えなければいけないため,通常の相続とは異なった考慮をする必要があります。

 そして,借地権付建物を仮に換価分割をする際には,売却に苦労することがあるため,借地権付建物の相続に伴う売却に慣れている弁護士に依頼することが良いと思います。

 東京都中野区所在の吉口総合法律事務所では,借地権付建物の相続を含む遺産相続分野を重点分野としており,また,遺産分割等のノウハウや経験がございます。

 借地権付建物の相続に関しご不明点がございましたら,中野区で無料相談対応の吉口総合法律事務所までご相談ください。

【お知らせ】新型コロナウイルスに対する対応について

2020-04-01

 当事務所では,新型コロナのウイルスに対する感染予防・拡大防止のため,法律相談中も弁護士がマスク着用のまま対応をさせていただきます。

 また,咳や発熱があるご相談者様は事前にご申告をお願いいたします。

存命中の親の預金が現在使い込まれているときの防ぎ方と解決方法

2020-03-10

 中野区で無料相談対応の吉口総合法律事務所で相続のよくいただくご相談内容としては,相続預金の無断引き出し・使い込みのご相談です。

 これと似た類型のご相談としては,親族が生前・存命中における預貯金の無断引き出し・使い込みの問題があります。

 具体的には,「自分の息子に預貯金の管理を委ねたが,無断で引き出されているようなので預金の返還請求をしたい」,「自分の親が弟に預貯金の管理を依頼したようだが,親の知らない間に預貯金が引き出されているようであり,何とかしたい。」といったご相談になります。

 このように,親族の生前・存命中に預貯金が無断で引き出されて使い込まれていることが疑われる場合は,どのように対処すればよいでしょうか。

 中野区で無料相談対応の吉口総合法律事務所作成の本コラムでは,親族の生前・存命中に預貯金が無断で引き出されて使い込まれている場合の対処法について解説を行います。

▼相続が既に発生している場合における預金の使い込みに関してはこちらのページをご参照ください。

▼預金の使い込みの解決事例はこちらのページをご参照ください。

すぐにしなくてはならないことは,これ以上預金が引き出されることを防ぐこと

 親族の生前・存命中に預金が無断で引き出され使い込まれていることが判明した場合は,まずはこれ以上預金が引き出されることを防ぐ必要があります。

 具体的には,預金がこれ以上無断で引き出されないように,当該親族が銀行等の金融機関を訪問した上で届出を行います。

 親族の判断能力が保たれている場合は,金融機関に相談・届出をすれば,これ以上の引き出しができないよう対処ができます。

 他方で,仮に親族の判断能力に疑義が生じている状態であれば,当該親族に対する後見開始の申立てを行うことを検討します。

 このように,無断で引き出され使い込まれた預貯金の返還請求を行う前に,まずはこれ以上被害が広がることを防ぐことをしましょう。

引き出された預金額の確認を行う

 これ以上の預金の無断引き出し・使い込みが防ぐことができた後は,無断で引き出された預貯金額がいくらであるかを確認します。

 この確認は,親族が引き出された預金口座の通帳を保管していれば通帳を確認し,通帳の保管をしていない場合は金融機関を訪問して取引履歴を取得します。

 取引履歴等を確認し,身に覚えのない引出をピックアップすることによって,無断で引き出され使い込まれた可能性がある金額が徐々に明らかになります。

親の預金を引き出している者に対して引き出された預金の返還請求を行う

 預貯金が無断引き出された上で使い込みがされた場合は,引き出し・使い込みを行った者に対して返還請求をすることができます。

 この返還請求を行う法律上の根拠としては,不当利得返還請求,不法行為に基づく損害賠償請求,(財産管理の委託をしていた場合は)委任契約に基づく受取物返還請求等があげられます。

 これらの請求をするために,預金を無断で引き出した者を被告として,地方裁判所に対して民事訴訟を提起することになります。

 使い込まれた預金の返還請求を行うために,家庭裁判所の調停を利用することもありえますが,解決までのスピードや実効性を考えると,地方裁判所に対して提起した方がより効果的です。

 なお,解決までに要する時間ですが,預金を無断で引き出した者の反論の内容にもよりますが,概ね8カ月から12ヵ月程度が多いように思われます。

親族に認知症等の症状がなく意思疎通が可能な場合

 通常の相続における預金の使い込み案件の場合は相続人を原告として,預金を無断で引き出し使い込みを行った者に対して返還請求を行います。

 これに対し,存命中の親族の預貯金が無断で引き出され・使い込まれた場合は,使い込みがなされた親族が原告となって使い込みを行った者に対して返還請求を行うことになります。

親族に認知症等の症状がある場合

 親族が存命中ではあるものの認知症等の症状がある場合もあります。

 この場合,認知症と言っても症状の軽重がありますので,認知症の症状があるからといって直ちに訴訟提起ができないわけではありません。

 もっとも,認知症が重い場合は訴訟の遂行が難しくなるため,後見開始の申立てを行うことになります。

 そして,選任された後見人の判断で預貯金を無断で引き出した者に対する返還請求を行うか否かが決まることになります。

預金を無断で引き出したことが疑われる側からなされるよくある反論

 預貯金を無断で引出・使い込んだことを理由とする返還請求を行った場合であっても,これに対する反論がなされることがよくあります。

 具体的には,「預金はもらったものである」,「預かっているだけであるから返すつもりである」,「引出金は許可を得て借りたものである」等の反論がされることがあります。

 これらの反論がなされた場合は,それらの法律上の位置づけを理解した上で,再反論を行い返還請求を行うことになります。

終わりに

 以上,親族生前中・存命中に無断で預金が引き出され・使い込まれた場合における対処方法について解説を行いました。

 親族生前中・存命中に預貯金が無断で引き出され・使い込まれた場合における返還請求は,相続した預金が使い込まれた場合における返還請求と基本的には似た法律構成にはなります。

 東京都中野区所在の吉口総合法律事務所では,預金の使い込みを始めとする相続問題を多数扱っております。

 預金の使い込みを含む相続問題にお困りの方は,下記お問い合わせフォーム等から中野区で無料相談対応の吉口総合法律事務所までお問い合わせください。

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