アパートを所有しているが,賃料を支払わない入居者がいるため明渡を求めたい。投資用マンションを購入したのだが,家賃の滞納があるため退去をしてもらい新たに入居者を入れたい。このような場合,家賃滞納を理由に建物明渡請求を行うことになります。
では,このように建物の明渡請求をしたい場合,どのように手続を進めればよいか等について解説を致します。
目次
【建物明渡請求の流れ】
①『解除通知の発送』
※家賃の滞納がある場合は,まずは解除通知を発送し,賃貸借契約を解除します。賃貸借契約を解除しない場合,入居者は入居ができる権限を引き続き有することになってしまうためです。解除通知には,賃料を支払わない場合には一定期間後に解除する旨を記載します。
②任意での交渉
※解除通知を発送しますと,入居者から連絡がある場合と無視をされる場合があります。また,連絡はあるもののおよそ交渉にならない場合があります。
入居者が無視をする場合やおよそ交渉にならない場合は訴訟手続を検討します。
他方で,相手方と話し合いの余地がある場合は,訴訟をした場合の費用や時間を踏まえて明渡に向けた交渉をすることになります。
③訴訟
※訴訟を提起後,入居者が裁判に欠席をした場合は,賃貸人の請求が認められ,次回または次々回期日には明渡請求を認容する判決が出ます。
他方で,入居者側が争った場合は,その主張内容によっては判決までに時間を要することもあります。
判決・和解
④強制執行
※判決を得た場合,または,数としては多くないものの和解をしたけれども相手方が約束を守らない場合,強制執行の申立を行うことになります。
強制執行の申立後,明渡催告,明渡の断行という各手続を経た上で,建物明渡が完了します。
【弁護士に依頼するメリット】
弁護士に依頼するメリットは以下の通りです
● タイミングに応じた確実な判断を弁護士がしてくれる
弁護士に依頼をしない場合,ご自身で交渉をすることになります。しかし,任意に明渡をしてくれればよいですが,明渡をしない場合は,今後要する手続や費用を踏まえて交渉を続けるか等をご自身で判断しなければいけません。
弁護士に依頼した場合,そのタイミングに応じた適切な措置をとることができます。
● 明け渡しを適法に行うことができる。
建物の明渡をするために無断で鍵を交換したり,勝手に荷物を搬出した場合は,搬出等をした側が刑事上の責任を負うばかりか,かえって不法行為を行ったとして損害賠償請求を受けてしまう可能性もあります。
先日も,無断で鍵を交換したことによって追い出しを行った大家に対する損害賠償請求が認められています。家賃を支払っていない方が悪いのでは?と考えてかえって違法行為を行ってしまうこともありますが,このようなことをやってしまうと逆に訴えられてしまいかえって出費がかさむこともあります。
弁護士に依頼をした場合,違法行為はできませんので,法律の手続に沿った明渡をすることができます。
● 弁護士依頼することによって時間・精神的負担を軽減することができる。
弁護士は他の仕業と異なり,代理人として活動することができます。
これは,弁護士がご本人の代わりに明け渡しの交渉,合意書作成,立ち合いを行ってくれるということになります。弁護士が明渡をすることによって,オーナー様は面倒な交渉を外部委託できるようになり,自らの時間を費やすことなく明渡という目的を達成することができます。